萬斎さん観賞と日本画修得の日々

吉祥寺で一棚だけの本屋さん(ブックマンション,145号,いもづる文庫)を始めました。お店番に入る日や棚のテーマ更新は、Instagramでお知らせします。

「第26回 明之會」を観る

5月5日、国立能楽堂
「第26回 明之會」を観に行ってきました。
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最初に加藤眞悟さんのご挨拶。
この曲の後シテに使う面は、観世流では、痩女、泥眼、増女のいずれもOKとしているそうで、つまり色々な解釈が許されているんです、とのお言葉が印象的でした。
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解説 表きよし先生。
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仕舞「邯鄲」
観世喜正さん。
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「素袍落」
太郎冠者が萬斎さん
主が裕基くん、
伯父が深田さん、
後見が高野さん。
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萬斎さんは、杜若(もしくは菖蒲)の肩衣。
今年もこの肩衣が見れて、ああ、また5月が巡ってきたんだな、と実感しました。
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太郎冠者が伯父に、三杯目のお酒をそっと催促する様子が
可愛い。
ほのかな照れがありつつ、しっかり要求を通す強かさもチャーミングでした。
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「定家」
里女&式子内親王が加藤眞悟さん、
旅僧が安田登さん、
従僧2人のお名前は不明。
所ノ者が野村太一郎くん。
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笛が松田弘之さん、
小鼓が幸信吾さん、
大鼓が広忠さん。退紅色の袴。
地頭が観世喜正さん。
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なんとも濃密な時間でした。
後シテは、葡萄色の大口、紫〜桃色グラデーションの山路模様の鬘帯、
練色地に金糸の蔦葛の長絹。
この曲にドンピシャな柄!
広忠さんとリンクコーディネートしたかのような色調が美しい。
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式子内親王は、定家の執心に苦しんではいるけど、だからといってそこから脱却したいとは思っていないような。
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賀茂の斎院を務めていた時は、苦しみもなくフラットな感情でいられたけど、
定家と恋愛関係になったことで苦悩する感情をゲットした、と捉えると、感情のバリエーションが増えて人生が豊かになったのかなぁ、と。
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来年の同会は、卒塔婆小町をなさるとの事でした。
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この日は、帰りに国展に寄ったのですが、まさに今回の後シテそのもの、というお着物に出逢いました。
東雲色の空を彷徨っているかのような、
暗さのなかに幸せがゆらめくような。
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このお着物を見たら、式子内親王はやはり苦悩しつつ、執心に絡みつかれる事に耽溺していたんじゃないのかなぁ、という気持ちが強まりました。
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東雲色のお着物は、以前から気になっていた土居もものさんという作家さんの作品。
国展は、5/13まで開催中です。
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