萬斎さん観賞と日本画修得の日々

吉祥寺で一棚だけの本屋さん(ブックマンション,145号,いもづる文庫)を始めました。お店番に入る日や棚のテーマ更新は、Instagramでお知らせします。

「第11回三曜会「融」」を観る

12月3日、国立能楽堂へ。

最初に佐久間二郎さんによる解説「本日の見どころ」 

仕舞「賀茂」
奥川恒治さん

仕舞「草子洗小町」
観世喜之さん

仕舞「土蜘蛛」
長山耕三さん& 佐久間二郎さん

狂言六地蔵
シテの徒者が万作さん、
田舎者が萬斎さん、    
アドの徒者が
深田さん&内藤くん&裕基くん。
後見が中村くん。

"徒者"は、"いたずらもの"と読むのだとか。
事前に萬斎さんから仕入れた情報として、佐久間センサが解説で教えてくださいました。

万作さん率いる詐欺グループは、悪者のはずなのに、なぜか応援したくなってしまう。

詐欺の手口のツメが甘くて、もどかしい為でしょうか。
六地蔵のポージング指導のアシスタントに、立候補したいくらいです。

萬斎さんは、カモにされそうな田舎者の雰囲気は少なめ。
垢抜けないキャラに無理に寄せたりしないのが、よいです。
都会は知らなくても、不自由なく暮らしてきた坊ちゃん、と解釈して堪能しました。


仕舞「頼政
観世喜正さん


狂言小舞「通円」
萬斎さん。
地謡は、高野さん&中村さん&裕基くん&飯田くん。

萬斎さんは老竹色の紋付に、同色の襟、京紫色の褊綴。

お茶を立てまくる場面に釘付けでした。
お茶碗をツイと差し出す所作を、ババババッと繰り返す表現がカッコ良くて。

その差し出す所作のままフリーズされると、お点前がハイスピード過ぎる故に、このように見えているのだ、と錯覚してしまう。

お点前の工程は色々あるのに、その中でこの工程を選ぶセンスに惚れ惚れします。


そして、こういう象徴的な表現が、私が能楽に惹かれるポイントなのかなぁ、という気がします。

佐久間センサの丁寧な解説のおかげもあり、「頼政」と「通円」をペアで楽しめました。


能「融 舞返」
尉・融大臣の霊が佐久間二郎さん。
旅僧が森常好さん。
所の者が高野さん。

地謡は、観世喜正さんを地頭に、
中森貫太センセ&永島充さん&鈴木啓吾さん&中森健之介くん&桑田貴志さん&坂真太郎さん&長山耕三さん。

笛が竹市学さん、
小鼓が飯田清一さん、
大鼓が広忠さん。
太鼓が大川典良さん。

エキセントリックな後シテでした!
お囃子も!!

観ている途中で、私が広忠さんにハマったのは「融」だった、と閃くように記憶が甦りました。
その時も、シテ方九皐会メンバだったように記憶しています。
9年前の10月のことでした。

来年の三曜会は、「安宅」だそうですーー