萬斎さん観賞と日本画修得の日々

吉祥寺で一棚だけの本屋さん(ブックマンション,145号,いもづる文庫)を始めました。お店番に入る日や棚のテーマ更新は、Instagramでお知らせします。

「第17回 日経能楽鑑賞会(6/29)」を観る

6月29日、国立能楽堂へ。

「清水」
太郎冠者が万作さん、
主が萬斎さん、
後見が中村くん、
幕が飯田くん。

太郎冠者が、「また鬼にならずばなるまい」と呟く場面は、平坦な言い方だけに、可笑しみが漂います。

主は、太郎冠者に本気の「取って噛もーっ」を言わせた段階で全容を把握できたはずですが、それでもワザワザ現場を再訪して検証するのは、何故なのでしょう。

クロ確定の太郎冠者を泳がせて楽しむ主人と、クロとバレても結局は許して貰えるもんね、と、どこかで思っている太郎冠者。

一連のスッタモンダが遊戯化したような雰囲気もあり、2人の関係性が微笑ましいです。

この主従の関係性って、隠狸や寝音曲に出てくる主従と同じ系譜のような気がします。

「主」や「太郎冠者」は、身分を表す記号と今迄は捉えていたけど、清水・隠狸・寝音曲の主従に限っては、同じ2人の人物なのかも。


「野宮」
里の女&六条御息所の霊が片山九郎右衛門さん、
旅僧が宝生欣哉さん、
里人が石田幸雄さん、
笛が竹市学さん、
小鼓が成田達志さん、
大鼓が國川純さん、
地謡は、浅井文義さんを地頭に、
浅見慈一さん&馬野正基さん&観世淳夫さん&武田文志さん&坂井音晴さん&武田宗典さん&小早川泰輝さん。

後見は、大江広祐さん&大江信行さん。
働キが小早川康充さんでしょうか。
働キの方も、後見のお二人も揃って長身なので、遠近感が揺らぐような感覚が。

今回、脇正面のお席だったのですが、脇正面から見た鳥居は内側から外界を見るアングルとなるせいか、御息所の立場に同化したような気持ちに。

以前に正面から観た時は、ワキの僧の立場に同化した心待ちだった記憶があり。
やはり、鳥居を見るアングルが左右してるのかしら。

シテの面は、正面から見ると割とサラッとした顔立ちですが、
横顔には、時おり情念がユラリと流れ。
この面の見え方も、公式に見せたいポーズと、内面の対比のようで面白かったです。


ロビーに井上八千代さんのお姿。

お着物姿がしなやか〜