11月18日、国立能楽堂へ。
狂言「樋の酒」
太郎冠者が高野さん、
主が中村くん、
次郎冠者が深田さん、
後見が月崎さん。
主に露見しても、太郎冠者は少しも悪びれないってトコが、たくましい。
そして、主への言い訳が、・・・でござるによって、少しも枯れることではない、と洒落が効いてるトコも愛嬌があります。
主も、怒ってる態で追いかけてはいるけど、
うーん、らやれたぁ、という程度で、怒り度数は低め。
なので、とっても爽やかな気持ちになりました。
能「天鼓 呼出 楽器」
天鼓パパ王伯&天鼓が、朝倉俊樹さん、
勅使が福王和幸さん、
勅使の従者が萬斎さん。
笛が一噌幸弘さん、
小鼓が田邊恭資さん、
大鼓が原岡一之さん。
萬斎さんは、榛色地に桔梗の群生の肩衣。
僅かに入ったろくしょうの差し色が美しい。
卵色地に焦茶の格子の縞熨斗目、茶の襟、枯色の変わり市松の狂言袴。
なんとすてきなコーデ!
この肩衣だいすきなのに、滅多にお目に掛かれない。
今年は観ることができて良かったです。
今回の2つの小書のうち、「楽器」は狂言方の小書。
従者は、自分も何か楽器を奏でたい、と勅使に申し出ます。
笛、笙、太鼓、の、順番に提案しますが、いずれの楽器も名前を知らないようで、特徴を述べたり、エアーで演奏の構えをしてみせたり。
萬斎さんのクイズコーナーみたいで、楽しくなってくる。
私も心の中で回答をつぶやきながら、クイズに参加しました。
笙なんぞという判りにくそうな楽器も、しっかり正解できて、おお、私ってばすごーい、と自己満足。
本当にすごいのは、リアルかつ、美し〜い萬斎さまの構えなのですが。
勅使も全問正解でした。
が、勅使は、スキル的にオマエには難しかろう、とコメント。
至極、ごもっとも。
しかし従者はめげずに、
楽器の替わりにイビキを奏でましょう、と再提案。
すると、勅使からは意外や、イイネのレスポンス。
勅使ってば、器がおおきい!
後シテの半切は杏色地に、金糸の花唐草模様。
大きめ柄が映えます。
古色を帯びた光沢控えめな風合いが魅力的。
一噌さんのお笛が、とても楽しそう。
ピーヒャラ吹きまくりです。
まるで、一噌さんに天鼓が乗り移ったかのよう。
天鼓って、鼓の話じゃなくて笛の話だっけ、と錯覚してしまう。
前場では、天鼓が受けた理不尽な仕打ちがどうも釈然としない!と思いましたが、後場はその思いも吹っ飛びました。
楽器さえ奏でられれば、もう過去のことはノープロブレムさ!というハッピーオーラ全開なんだもの。