6月12日、国立能楽堂へ。
仕舞「 老松」:青木響平ちゃん、3歳。この度が初舞台だそうです。
地謡は、青木健一さん&一郎さん。
お父様とお祖父様。
響平ちゃんは、ニッコニコでご登場。
番組表によると、ちょうど35年前には、健一さんが老松で初舞台、
一郎さんが道成寺の披き、
という組合せで上縁されたのだとか。
一世代スライドして同じ番組を組む、とは、なんとも悠久のサイクルです!
響平ちゃんはいったん退出されたのち、お父様と共に再登場。
こんどは独吟(?)で「 老松」(たぶん)。
終演後のご挨拶よると、一郎さんが次の仕舞の為に紋付裃を着替えたい、という事になり、急きょ前日に独吟もお稽古されたのだそうです。
で、次が、お着替された青木一郎さんの仕舞「 菊慈童」
仕舞「難波」 梅若万三郎さん。
仕舞「花筐 狂」:観世銕之丞さん。
地謡の方々も含め、みなさま紋付裃。
狂言「二人大名 」
シテの大名が萬斎さん、
通りの者が 万作さん、
アドの大名が裕基くん。
後見が月崎さん、
幕が中村くん。
お二人とも紋付裃。
これ以上ない、極上の配役です。
大名コンビが向かいあって、起き上がり小法師を舞い謡うと、もはや天国!
キレッキレの身体性は隠しようもなく。
情けない間抜けな大名っていう設定なんですが、その設定も吹っ飛びます!!
最初はイヤイヤ謡っていたシテ大名が、途中からギアがカチッと入ってノリノリになるトコも楽しい。
役柄としてのギアチェンジの態を取りつつも、萬斎さんご当人もノッておられるように感じられ。
万作さんもめちゃくちゃ愉しそう。
親子三世代が息ピッタリで歌舞に興じるっていうのは、見てる側も天国なのは当然ながら、演じておられる側も天国なのかも。
独吟「笠之段」 梅若紀彰さん。
この後に休憩を挟んで、三浦裕子先生による解説。
能「道成寺 赤頭 中之段数躙 無躙之崩 五段之舞」
白拍子&蛇體が 青木健一 さん。
道成寺住僧が野口能弘さん、
従僧が野口琢弘さん&則久英志さん。
オモアイが 太一郎くん、
アドアイが 石田淡朗くん。
笛が噌幸弘さん、
小鼓が久田舜一郎さん、
大鼓が大倉正之助さん、
太鼓が小寺真佐人さん。
鐘を吊るす時の滑車通しは中村くん。それを受け取る側のお役目は裕基くん。
まず中村くんが竹棹に綱をセットするのですが、これが中々上手く行かず。
しかし、中村くんは慌てません。
トライを繰り返す中で、
Y字からワッカが直ぐ外れ落ちてしまう問題も解決し、
ワッカの首がクタッと垂れてしまう問題も解決し、
10回くらいトライした末に、無事に成功!
滑車にワッカが通されるや、裕基くんが落ち着き払ってフック付きの棹でキャッチし、力強く引き下ろしたのでした。
良かった〜良かった〜良かった〜、と見所に無音のどよめき。
後シテは、赤頭に緋の長袴。
色々な所作に応じて、長袴がつくり出すフォルムが美しい。
生地の厚みがポイントなんでしょうか。
シワや稜線がせせこましくならず、直線と直線を大胆に繋いだ中に、時おり入り混じる曲線も絶妙です。
抽象的になり過ぎてないザッキンの作品みたい。
最後に三浦先生が健一さんのお手紙を代読。
続いて、響平ちゃんとじいじがご登場。
じいじの言葉に、要所要所で頷きながら聴き入るご様子が、か、わ、い、い〜
響平ちゃんも数十年後には、この日と同じ番組を一世代スライドさせて上演なさるのでしょうか。
その日に向けて響平ちゃんがスタートを切った日に立ち会えた事を嬉しく思います。