萬斎さん観賞と日本画修得の日々

吉祥寺で一棚だけの本屋さん(ブックマンション,145号,いもづる文庫)を始めました。お店番に入る日や棚のテーマ更新は、Instagramでお知らせします。

「-能狂言- 『日出処の天子』スペシャルトークイベント 野村萬斎×山岸凉子」を聴講する

8月11日、宝生能楽堂で、「-能狂言- 『日出処の天子スペシャトークイベント 野村萬斎×山岸凉子」を聴講しました。
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司会は、ダヴィンチの編集者さん。
めちゃくちゃ面白かった!
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山岸センセはとても可愛らしい方で、
時として、萬斎さんの一ファンのノリになってしまい。
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萬斎さんにシン・ゴジラの事を質問しはじめたり、とフリーダムな所も微笑ましく。
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あと、今回の舞台をご覧になってお喜びになっておられる観点が、見所の私達と一緒!
よくぞここまで作品の世界観を凝縮してくださいました、
しかも通しで!!
という。
失礼ながら親近感が。
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なので、トークイベントの山岸センセは、
あの王子を生み出したカリスマ漫画家でありつつ、
それと同時に、今回の舞台への大絶賛なファンの思いを代弁して萬斎さんに届けてくださる巫女のようでもありました。
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萬斎さんは、王子を直面でやるか、面を掛けるかは、とても迷われたそうで、面も作っていた、と仰り、その幻の面を披露くださいました。
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既存の「喝食」という面をベースにしたオリジナルの面とのこと。
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しかも、1つ目を作って、これでは少年よりは大人の年齢に見えてしまうね、と更にもう1つ作った末に、けっきょく直面に落ち着いたのだそうで。
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面も素敵でしたが、萬斎さんの直面の王子を観てしまうと、アレ以外の正解はあり得ません!
直面をお選びくださり、ありがとうございます!!
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間人姫の登場から始るのは必然だった、というお話も興味深かったです。
間人姫と王子は、並んで出てくる場面はあっても、一言も言葉を交わしていない。
そうすることで、実際に引っ叩いたりする場面を出さずとも、二人の関係性を示すよう
にした、とも。
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また、毛人役の福王和幸さんとの物理的な距離の詰め方のお話も。
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通常の能では相手の身体に触れるような表現はないので、胸に顔を寄せる、とかあり得ないのだけど、今回はそれが必要だった、と。
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そのお話の流れで、
「千手」の千手前と重衡の話をなさりかけ、ちょっと違うか、と中断してしまわれたけど、
あれはシテとワキじゃなくて、シテとツレの組合せだから事例として説得力に欠けるという事だったのでしょうか。
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千手前と重衡がすれ違いざま、袂を触れ合わせて少し静止する場面があるですが、
一夜を共にした事を象徴的に示しているのだと以前に何処かできいた記憶があります。
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その千手前がシテで、重衡がツレなのでした。
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膳美郎女をどうするかも、最後まで悩んだ、とのこと。
全く出さないか、ほんとうの子方を使うか、
大人の能楽師に演じてもらうか、と。
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私はてっきり、膳美郎女を演じられる能楽子として、ピンポイントで、鵜澤光さんがまずキャスティングされたんだと思い込んでいました。
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で、他の銕仙会メンバは、光さんキャスティング後に出演が決まったのか、と。
今にして思えば、ポスト「鷹姫」として「日出処の天子」を後世に遺すには、銕仙会は必須ですね。
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でもまあ舞台を観た直後は、光さんに出てもらうんなら、ついでにフツヒメも演じていただこう、という展開なんだと思ってました。
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だって、光さんの膳美郎女がとても良かったので。
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原作を読んだ時は、膳美郎女を抱き寄せる王子を見るのが辛過ぎて、ラストまるごと直視できない心情だったんだけど、
狂言版では、何か救いのようなものを感じたのです。
ラストを変えている訳ではないのに。
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ラストのある言葉は、「子午線の祀り」の知盛の「見るべきほどのことは見つ」にも通づる、というお話も。
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知盛は自害してしまうのに、なぜか納得!
宇宙感を感じる作品という点に於いても、子午線とは共通感が。
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それでいうと、萬斎さん演出版ハムレットも宇宙感を感じます。
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それと、今回の能狂言化が決まり、萬斎さんが山岸センセに、ここだけは入れて欲しい、という所はありますか、と訊かれた際、山岸センセは全部と答えられたそうで。
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何か1つの場面を回答すると、ほんとにその場面だけが切り取られた舞台になってしまうかもしれない、それならダメ元で全部といってみよう、とう心情だったのですって。
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その仰りようが、作者としてのプライドというより、「日出処の天子」の世界を愛するファンのようで、
わ・か・るー!
と大共感でした。
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わがままファンの思いを、まず最初にぶつけてくださっていたのですね。
山岸センセ、ありがとうございます!
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山岸センセがおられなければ、日出処の天子はできなかったし、
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萬斎さんにお姉様がおられなければ、この漫画を萬斎さんが読む事がなかったかもしれず、
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萬斎さんが、「子午線の祀り」をはじめとする様々な舞台の演出をされてきた経験がなければ、
ここまでの天才的な切れ味の「日出処の天子」にはならなかったかも。
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さらに、福王和幸さんという毛人そのままのワキ方がおられなければ、ここまでの再現とはならなかったかもしれず、
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狂言鬼滅の刃」を2作こなしてきた中で、
福王さんのワキ方としての抵抗感を少しづつ取り払っていった布石もなくしては実現せず。
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広忠さんという萬斎さんの「戦友」なくしても、ここまでスタイリッシュな囃子も望めなかったかも。
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全てを許容してくださった文蔵さま懐の大きさがなければ、NG縛りの制約を受けたかもしれず、
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文蔵さまと萬斎さんが古くから「鷹姫」の舞台を共にされてきた歴史があり、
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そして、その「鷹姫」初演時のシテをつとめられた観世寿夫さんと、萬斎さんパパ・万作さんの絆があり、
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と、全ての条件が揃った事は、奇跡としか思えません。
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とても濃い1時間半のトークでした。
今回のお話を伺ったうえで、また12月に観れるのがとてもありがたいです!
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