萬斎さん観賞と日本画修得の日々

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「新作能 媽祖  -劇場版-」を観る

1月15日、小田原三の丸ホール大ホールへ。

ロマンスカーに乗ったのは、35年ぶりくらいかも。

演目は新作能「媽祖」、一曲のみ、という潔い公演。

巫女&媽祖(シテ)が片山九郎右衛門さん。
春日明神が萬斎さん。

目隠し=千里眼&鬼神が(ツレ)が味方 玄さん、
耳覆い=順風耳&鬼神が分林道治さん。

山部赤人(ワキ)が宝生欣哉さん、
その従者(ワキツレ)が宝生尚哉くん。

船頭(間狂言)が茂山逸平さん。

大鼓が広忠さん!
小鼓が吉阪一郎さん、
太鼓が前川光範さん、
笛が竹市 学さん。
地謡は8人編成。

企画・演出が片山九郎右衛門さん、
原作・台本が玉岡かおるさん、
映像監修が杉本博司さん、
映像撮影が鈴木心さん。

本舞台背面のスクリーンに、江之浦の硝子舞台の映像が!
2ヶ月前に現地で目にした、あの硝子舞台。
あの時の感動が呼び覚まされます。
 
映像になっても、実際に見た通りの美しさが損なわれず、むしろ純度が高まって、研ぎ澄まされた美しさ。
 
その景観が自分の目前に拡がり、更に、その映像が実舞台にスライドして、生身の演者がポッカリ出現する、という始まり方がカッコいい。
 
映像からリアルへの移行の過程は、橋掛かりのような機能も持っているように感じられました。
 
そして萬斎さんは、前場は直面、後場では気品のある老人の面を付けてご登場。
そこに姿が見えていても、私たちとは違う次元におられる風情。
 
今回の萬斎さんのお役目って、どのような位置付けだったのでしょうか。
 
番組表では、萬斎さんのお名前の箇所には、アイ、だとか、シテ、だとかの記載は無く、単に"春日明神"と。

一方で、他の方々は、演じる人物名と共に、何かしらのお役目が併記されており。
記載レイアウト的には、いちばん右上だったので、子方のような位置付け?
確かに、子方が演じてもシックリするお役かもしれません。
 
子方ちゃんって、高貴な人とか、龍神とか、特別な存在を割り振られがちですし。
前場は、子方ちゃん的なお役と考えれば、直面だった事も、ちゃんと成立しますね。