萬斎さん観賞と日本画修得の日々

吉祥寺で一棚だけの本屋さん(ブックマンション,145号,いもづる文庫)を始めました。お店番に入る日や棚のテーマ更新は、Instagramでお知らせします。

『日本全国 能楽キャラバン! in 神奈川 神秘の島 祈祷の響き「江野島」』を観る

1月5日、鎌倉芸術館へ。

解説 葛西聖司さん。
"神秘の島 祈祷の響き「江野島」"


「江野島」の解説の中で葛西さんが仰ることには、
江ノ島へ勅使を派遣した欽明天皇というのは、聖徳太子のお祖父様なのだとか。

解説の最後には、鎌倉殿の13人の義時に似ている方が、今日の囃子方の中におられる、と。
消去法でいくと広忠さんでしょうか。

葛西さんは、私、大好きなんです、と仰っていました。
義時のこと?
それとも広忠さんのこと?


「鐘の音」
太郎冠者が萬斎さん、
主が高野さん、
後見が深田さん。

萬斎さんは、水仙が大胆にデフォルメされた肩衣、紅梅の扇。

擬音で奏でられる鐘の音色が美しい。
一軒目のお寺の鐘から、典雅な音色!
一軒目の音色は普通レベル、という設定のはずが、いきなり聴き惚れてしまいます。

が、太郎冠者がナンバーワンに決めたお寺の鐘の音色は、もーっと美しかった!

鎌倉から戻って得々と報告する太郎冠者に、主が呆れ返る様子が楽しい。

アイツは何をほざいているのか?、とかブツブツ言いつつ、怒り爆発までにジワジワと時間を掛けてくださり。

見所から
「ちゃんと最後のお寺の鐘まで聴きたい。
主は怒ってもいいけど、怒るのはラストの鐘の再生後にして〜」
と念を送ったのを、受け止めてくださったと思われます。
ありがとうございます!

今年のお正月は何処にも出掛けず、地味〜に年が始まりましたが、萬斎さんと鎌倉寺院めぐりができて、一気に華やいだ気分になりました。


「江野島」
シテ(漁翁&五頭竜王)が中森貫太さん、
前ツレ(漁夫)が中森健之介くん、
後ツレ(辯才天)が小島英明さん。

子方(十五童子)が手島福太郎くん&大川眞央ちゃん。

ワキ(勅使)が舘田善博さん、
ワキツレ(従者)は、則久英志さん&梅村昌功さん。

アイ(鵜ノ鳥ノ精)は飯田くん。

笛は杉信太朗さん、
小鼓は飯田清一さん、
大鼓は広忠さん!
太鼓は小寺真佐人さん。
地謡は、観世喜正さんを地頭に8人編成。

鵜ノ鳥の面は、クチバシの突起が控えめで、鳥より寧ろ犬ちっく。

万作家がお持ちのはずのカラスの面の方が、鵜のフォルムには近い気がします。
こういう時は、リアルよりも伝統を重んじるという事でしょうか。

五頭竜王は、濃紺に金糸で稲妻&龍が配された狩衣。
稲妻の模様を雷紋(らいもん)と称するのだとか。
この日の葛西さんの解説にて学習しました。
 
装束は王道のカッコよさで、そこに面の不気味さが加わると、カッコ良さ倍増です。
 
五頭竜王は、辯才天に出会う前は厄災をもたらす存在だったらしいのですが、悪行を止めて辯才天と結婚した後も、
ダークヒーロー的な魅力は健在だったのですねー