萬斎さん観賞と日本画修得の日々

吉祥寺で一棚だけの本屋さん(ブックマンション,145号,いもづる文庫)を始めました。お店番に入る日や棚のテーマ更新は、Instagramでお知らせします。

「萬斎 イン セルリアンタワー 22」を観る

 

12月16日、セルリアンタワー能楽堂へ。

最初に萬斎さんによる解説。

萬斎さんは、茄子紺の紋付に、京紫の細縞の袴、シルバーの角帯、鮮やかな空色の長襦袢

おお!
この袴は、広忠さんからのプレゼントではありませんか!!

去る9月19日に、「七代目杵屋和吉襲名披露公演」で三番叟を踏まれた際に、三響會ブラザーズとオソロでお召しになっていた袴。

ノーブルな気高さ倍増です!!
 
解説では、恒例の年間総括ともに、2つの小舞についても丁寧に解説くださったのが嬉しかったです。
 
萬斎さんが仰ることには、屋島に行ってみると小さな入江で、こんな所で戦っていたのかとビックリする、と。
壇ノ浦も然り、と。
 
でもでも!
そうは仰っても、小さかろうが、萬斎さんは屋島にも壇ノ浦にも、実際に行かれたのですね。
 
私もいつかは行ってみたいと思っていましたが、ますます行きたくなりました!

解説は予定を20分オーバーして19:45まで。
ありがとうございます!

小舞「八島 後」裕基くん。
小舞「海人」萬斎さん。

地謡は、深田さん&高野さん&月崎さん&太一郎くん。

裕基くんは青鈍色の紋付にグレーの袴。
釣狐の披きの翡翠の扇。
キレのある所作にも、静止の姿にも惚れ惚れです。
 
萬斎さんがパノラマティックなポイントを熱烈解説くださったお陰で、詞章の美しさとの相乗効果を堪能しました。

萬斎さんの装束は、解説の時のまま。
大サービスに感謝です。
扇は、シルバー地に雪持ち椿。

ツアーアテンダント・萬斎さんに、深海に連れて行っていただきました!
謡のお声がグンと重低音になる場面では、海の底深くへ入っていく感が増長され。
 
萬斎さんの周りの空間も、どんどん深い色調になっていくようで、海底層を下へ下へと進んでいく感覚を味わいました。


狂言「仏師」
すっぱが石田幸雄さん、
田舎者が飯田くん、
後見が月崎さん。
 
「やっと、やっと」という、すっぱの応答、妙に気に入ってしまいました。
以前にも観た曲のはずなのに、何らや新鮮で。
石田さん独自の味わいのお陰でしょうか。
 
解説の際に萬斎さんは、「仏師」で使う面を横澤夏子さんに似てる、と。
最初は彼女の名前が思い出せず、彼女の出演CMの特徴を話され、見所に尋ねておられました。
萬斎さんのお祖父様が打たれた面なのだとか。
 

狂言「吹取」
何某が萬斎さん、
婚活する男が深田さん、
女が高野さん、
後見が裕基くん。

裕基くんは今度は黒の紋付。
途中で笛を萬斎さんに渡すのですが、いったん笛を床に置いて整える(持ち直したのかも)所作が綺麗。
 
萬斎さんは、胡桃色&ブルーグレー&白の段熨斗目、水色の襟。
長裃は、茶の更紗模様。
リバティプリントちっくな柄。
 
何某サマは、水面に映る景色に、キャーッと大興奮。
 
その景色の中へ、笛吹き何某サマが入った景観に、私も内心ギャーッと大興奮!
 
何某サマと深田さんが作りだしたエアの世界のはずなのに、究極の絶景だーー、とうっとりでした。
 
折に触れて萬斎さんが、狂言の約束ごとを演者と観客で共有しないと楽しめませんよー、というような事を仰っていますが、
 
まさに!!
 
共有したからこそ、観れる絶景だったんだなぁ、と思います。