萬斎さん観賞と日本画修得の日々

吉祥寺で一棚だけの本屋さん(ブックマンション,145号,いもづる文庫)を始めました。お店番に入る日や棚のテーマ更新は、Instagramでお知らせします。

「第100回 野村狂言座」(木曜日)を観る

12月1日、宝生能楽堂へ。

最初に萬斎さんによる解説。

今日の演目のうち「飛越」と「簸屑」は、どっちも相撲の話が出てきて殆ど同じ事を言うので、「簸屑」では相撲のくだりは割愛します、とのこと。

なるべく、こういう被りがないよう番組を組むようにしているんだけど、たまにこういう事が生じてしまうのですって。

「老武者」の解説では、昔は男性が稚児を愛でる嗜好が割と一般的だった、という話の流れから、
牛若丸が清盛に殺されずに済んだのも、稚児力高めだったの お陰という説もある、と。
そうだったのか〜

解説は、ちょっと予定オーバーして19分も。
黒門付のお姿を少しでも長く拝見したい身としては、ありがたい限りです。


狂言「飛越」
新発意が中村くん、
何某が内藤くん、
後見が月崎さん。

何某が一旦は渡った小川を軽々と戻ってくると、新発意がすかさず感嘆。
こういう細かいトコを丁寧に掬ってくださるから、エアーの小川が成立するのですね。


狂言「簸屑」
太郎冠者が高野さん、
主が飯田くん、
次郎冠者が深田さん、
後見が岡さん。

「食べて直ぐ横になると牛になる」というコトワザを思い出しました。
昔は、怠惰なことを戒めよう、という思想が強かったのかしら?

そして、鬼というか、異形のものへの恐れが、とてつもなく大きかったのだなぁ、とも思わされました。


狂言「鱸包丁」
伯父が万作さん、
甥が裕基くん、
後見が中村くん。

万作さんは、荒磯模様っぽい細かい柄行の長裃。
こなれ感のあるコーデが素敵です。

厳しげなお役の時にお召しになる隙のないコーデもお似合いになりますが、また新たな魅力を知った思いです。

伯父は、甥の嘘を真っ向から叱るんじゃなくて、甥のテリトリーである虚構ワールド出向いて対抗してみせます。
これぞ、真のオトナ!


素囃子「早笛」
大鼓が佃良太郎さん、
小鼓が森貴史さん、
太鼓が大川典良さん、
笛が小野寺竜一さん。

狂言「老武者」
祖父が石田さん、
三位が萬斎さん、
稚児が三藤なつ葉ちゃん、
宿屋が淡朗くん、


若衆が
太一郎くん&内藤くん&岡さん。


祖父が月崎さん&高野さん&竹山さん&深田さん。
地謡が中村くん&裕基くん&飯田くん&福田成正さん。


後見が万作さん!

最初に萬斎さんが登場して次第を謡われる。
ワキ方ちっくなお役なのですねー

酒宴のシーンでは謡が盛りだくさん。
萬斎さんの謡がいっぱい聴けるとは、なんという贅沢なのでしょー

この日のラジオで萬斎さんは、ご自身が地頭をなさった別の公演に触れ、「私が頑張らなくても他の人達にもっと頑張って貰いたい」という主旨のご発言をされていたけど、

いやいやいやいや、今回の「老武者」の地謡、すてきでしたよぉ

特に裕基くんのお声が美しく響いていました。

解説でのお話によると、以前にこの曲をやった時は、地謡はヨソのおうちからヘルプして貰ったのだとか。
てことは、今回の地謡メンバは全員、この曲を務めるのは初だったのかもしれず、めちゃくちゃ特訓なさったのでしょうねー

なつ葉ちゃんは、自覚なき美少年、と私は解釈しました。

可愛い可愛いと世間がざわつき始めたので、これはビジネスになりそうだ、
と三位は考えたのかも。

そうなのです、
萬斎さんは最初はワキ方モードだったのが、興行マネージャモードにシフトチェンジ。
胡散くさいマネージャ様も佳い!

昔は、稚児というのはアイドルっぽい位置付だったのですね。
で、そのファン同士の派閥争いが勃発した、と。


第101回は、三番叟!
解説の際に萬斎さんがおっしゃることには、
木曜と金曜で小書が違い、どっちの小書もレアだけど、特に金曜の方がレアなのだとか。
そんな事いわれちゃったら、どっちも予約せずにはおられません!!