萬斎さん観賞と日本画修得の日々

吉祥寺で一棚だけの本屋さん(ブックマンション,145号,いもづる文庫)を始めました。お店番に入る日や棚のテーマ更新は、Instagramでお知らせします。

「国立能楽堂 企画公演 ◎聖徳太子1400年遠忌によせて(11/30)」を観る

11月30日、国立能楽堂へ。

狂言「太子手鉾」
太郎冠者が野村又三郎さん、
主が野村信朗くん。

又三郎さんの肩衣がコオロギ!
本物は苦手なのに、絵になると何故か心惹かれます。

守屋なんぞというワードが出てくると、もうそれだけで「日出処の天子」の中の顔が脳内再生されます。
自分の中では、「別に〜」な人物であっても、この再生力!

山岸涼子さんが作り上げた世界が如何に揺るぎないか、という証です。


復曲能
世阿弥自筆本による「弱法師」

俊徳丸が大槻文蔵さま、
その妻が大槻裕一くん。

四天王寺の住僧が福王茂十郎さん、
従僧が福王知登さん&喜多雅人さん。

俊徳丸パパ・高安通俊が萬斎さん、
能力が太一郎くん。

笛が竹市学さん、
小鼓が大倉源次郎さん、
小鼓後見は大倉伶士郎くん、
大鼓が山本哲也さん。

俊徳丸パパは、通常ならワキ方のお役ですが、今回は特殊演出により、狂言方がなさる!

しかも萬斎さんが!!
・・・というのが、私には大きな目玉でした。

萬斎さんは、藤色&鶯谷色&スズメ色の段熨斗目に、雲取り模様が配された女郎花色の素襖裃。
雲の中は細かい銀杏柄で、雲の周囲は鮫模様ちっくな点々。

美し過ぎる!!
憂いをまとった風雅なお姿に、心を奪われました。

パパが暗くなるまで名乗らないのは、人目がある為と言っていたけど、それだけじゃなくて、
今日までの俊徳丸の来し方を理解するための時間を取りたかったのかな、と感じられました。

何年もの空白は埋めるには、心情的に寄り添うための助走時間が要る、と考えての事だったのかなぁ、と。

そして、パパが我が身を名乗る場面では、狂言方地謡が一緒に謡を!

帰宅してから公演パンフを見直してみると、そこのパートには確かに
「高安通俊/地謡」と書かれており。

 

鷹姫とかの新作能は別にしたら、狂言方地謡が一緒に謡うって、とってもレアなのでは。

 

狂言方の心情を8人ものシテ方が!謡ってる!!

 

まるで萬斎さんがシテ方になられたかのようなシチュエーションにトキめきました。

 

そして、俊徳丸&その妻が可憐でした。
頼りなげな流浪感もありつつ、零落感はひかえめで清らかな気品が仄かに漂っていて。

このお二人の「蝉丸」をいつか観てみたいものです。