10月9日、宝生能楽堂へ。
狂言「太子手鉾」
稀曲だそうで、萬斎さんがシテを
なさるのも、今回で2回目とのこと。
太郎冠者が萬斎さん、
主が高野さん、
後見が飯田くん。
太郎冠者サマは、カーキ色の襟、同色の格子の縞熨斗目、同色の地に葡萄&巨大ネズミの肩衣、釘抜紋の腰帯、ワインレッド地に芝生のような、カビのようなニュアンスの模様の狂言袴。
なんでもエアーでやっちゃうのが狂言の鉄板ですが、この演目に登場するホコは、しっかり実体のある物。
萬斎さんに、このような長い棒を持たせたら、そりゃもう、舞っちゃいますよねー
この演目の肝は、物部守屋に掛けた洒落なのだけど、満次郎さんの解説が無かったら、中々つうじにくそうです。
昔の人達は、解説なんかなくても、ちゃんとニヤリ、とできていたのでしょうねー
ところで、この演目について、萬斎さんと満次郎が語ってるYouTubeを観たのだけど、萬斎さんが
「日出処の天子」(山岸凉子さん作)の厩戸皇子の役を、もっと若ければやってみたかった、と仰るのを受けて、満次郎さんが、来年やりましょう、と!
満次郎さん、ゼヒゼヒお願いいたます!!
どちらも、天王寺楽所 雅亮会(てんのうじがくそ がりょうかい)の皆様による上演。
今回の舞楽のご出演者のなかで、羯鼓をご担当の小野真龍神さんが、公演冒頭の満次郎さんのご挨拶コーナーに登場され、宮内庁楽部との違いをご説明くだっており。
雅楽なるものは全て、宮内庁の管轄というイメージがあったけど、そうとは限らないのですね。
舞を担当する人(番組表によると"舞人"と称するらしい)は4人で、スクワットのような所作を何度もはさみつ緩やかに、時ににジワジワと舞う。
柿色の装束は、裾がかなり長くて、舞人の軌跡に追従しきれない場面も。
そうすると舞人の七名前方向に、モタモタと裾が滞ったりして、それが何やらキレイ。
能「弱法師」
弱法師(実は俊徳丸)が観世銕之丞さん、
俊徳丸パパ・高安通俊が森常好さん、
その従者が萬斎さん。
笛が一噌隆之さん、
小鼓が大倉源次郎さん、
大鼓が亀井広忠さん、
小鼓後見は大倉伶士郎くん。
地頭は辰巳満次郎さん、
他の地謡も宝生流の方々。
一方、後見は銕仙会の方々。
地謡の二列目は、マウスシールド装着。
何が嬉しいって、この演目のアイは、ずーっと出ずっぱり!
しかも大半の時間は、橋懸りでなく本舞台(笛座の前辺り)に居られるのです。
ありがたや~
萬斎さんは、榛色の向鶴菱の長裃、薄卵色&柳裏色&ブルーグレーの段熨斗目。
シテの腰帯の水仙が優美。
水仙の葉がミュシャちっくなカーブを描いており。
弱法師が、よろめきつつ歩く場面で、地謡が
「かなたこなたと歩く程に・・・」とかって謡ってるとき、萬斎さんと二度、ぶつかるような所作が。
「かなた」の時が1度め、
「こなた」の時が2度め。
この時の萬斎さんは、高安通俊の従者ではなく、単なる通行人の役目をなさってるってこと?
「かなた」で通行人1になり、
「こなた」で通行人2になり、と。
わーっ
なんとかっこいいスイッチング。
まるで萬斎さん版マクベスの魔女みたい。
この場面は、二人で舞を舞っているようにもみえ、とても印象的でした。