萬斎さん観賞と日本画修得の日々

吉祥寺で一棚だけの本屋さん(ブックマンション,145号,いもづる文庫)を始めました。お店番に入る日や棚のテーマ更新は、Instagramでお知らせします。

「第2回JACSO特別公演 聖徳太子1400年紀 神仏の心」を観る

10月9日、宝生能楽堂へ。

狂言「太子手鉾」
稀曲だそうで、萬斎さんがシテを
なさるのも、今回で2回目とのこと。
太郎冠者が萬斎さん、
主が高野さん、
後見が飯田くん。

太郎冠者サマは、カーキ色の襟、同色の格子の縞熨斗目、同色の地に葡萄&巨大ネズミの肩衣、釘抜紋の腰帯、ワインレッド地に芝生のような、カビのようなニュアンスの模様の狂言袴。

なんでもエアーでやっちゃうのが狂言の鉄板ですが、この演目に登場するホコは、しっかり実体のある物。
萬斎さんに、このような長い棒を持たせたら、そりゃもう、舞っちゃいますよねー

この演目の肝は、物部守屋に掛けた洒落なのだけど、満次郎さんの解説が無かったら、中々つうじにくそうです。

昔の人達は、解説なんかなくても、ちゃんとニヤリ、とできていたのでしょうねー

ところで、この演目について、萬斎さんと満次郎が語ってるYouTubeを観たのだけど、萬斎さんが
日出処の天子」(山岸凉子さん作)の厩戸皇子の役を、もっと若ければやってみたかった、と仰るのを受けて、満次郎さんが、来年やりましょう、と!

満次郎さん、ゼヒゼヒお願いいたます!!


舞楽「萬歳楽」
舞楽「蘇莫者(そまくしゃ)」

どちらも、天王寺楽所 雅亮会(てんのうじがくそ がりょうかい)の皆様による上演。

雅楽のなかでも、雅楽に舞が付くと”舞楽”になるのだとか。

今回の舞楽のご出演者のなかで、羯鼓をご担当の小野真龍神さんが、公演冒頭の満次郎さんのご挨拶コーナーに登場され、宮内庁楽部との違いをご説明くだっており。

雅楽なるものは全て、宮内庁の管轄というイメージがあったけど、そうとは限らないのですね。

舞を担当する人(番組表によると"舞人"と称するらしい)は4人で、スクワットのような所作を何度もはさみつ緩やかに、時ににジワジワと舞う。

柿色の装束は、裾がかなり長くて、舞人の軌跡に追従しきれない場面も。
そうすると舞人の七名前方向に、モタモタと裾が滞ったりして、それが何やらキレイ。

新作能舞「太子の心」
聖徳太子が満次郎さん。

能「弱法師」
弱法師(実は俊徳丸)が観世銕之丞さん、
俊徳丸パパ・高安通俊が森常好さん、
その従者が萬斎さん。
笛が一噌隆之さん、
小鼓が大倉源次郎さん、
大鼓が亀井広忠さん、
小鼓後見は大倉伶士郎くん。

地頭は辰巳満次郎さん、
他の地謡宝生流の方々。
一方、後見は銕仙会の方々。

地謡の二列目は、マウスシールド装着。

何が嬉しいって、この演目のアイは、ずーっと出ずっぱり!
しかも大半の時間は、橋懸りでなく本舞台(笛座の前辺り)に居られるのです。
ありがたや~

萬斎さんは、榛色の向鶴菱の長裃、薄卵色&柳裏色&ブルーグレーの段熨斗目。

シテの腰帯の水仙が優美。
水仙の葉がミュシャちっくなカーブを描いており。

弱法師が、よろめきつつ歩く場面で、地謡
「かなたこなたと歩く程に・・・」とかって謡ってるとき、萬斎さんと二度、ぶつかるような所作が。
「かなた」の時が1度め、
「こなた」の時が2度め。

この時の萬斎さんは、高安通俊の従者ではなく、単なる通行人の役目をなさってるってこと?

「かなた」で通行人1になり、
「こなた」で通行人2になり、と。

わーっ
なんとかっこいいスイッチング。
まるで萬斎さん版マクベスの魔女みたい。

この場面は、二人で舞を舞っているようにもみえ、とても印象的でした。