萬斎さん観賞と日本画修得の日々

吉祥寺で一棚だけの本屋さん(ブックマンション,145号,いもづる文庫)を始めました。お店番に入る日や棚のテーマ更新は、Instagramでお知らせします。

「狂言 第36回 やるまい会 東京公演 ~野村又三郎半白・野村信朗成人 記念~」を観るす

9月23日、国立能楽堂へ。
  
「翁」 
翁が小早川修さん、
三番叟が野村信朗(のぶたか)くん、
千歳が小早川康充さん、
面箱持が野村裕基くん。

笛が藤田貴寛さん、
小鼓頭取が大倉源次郎さん、
脇鼓が清水和音さん&大倉伶士郎くん、
大鼓が柿原弘和さん。

伶士郎くんの後見は田邊恭資さん。

狂言後見は、
萬斎さん&野村又三郎さん。
このお二人の素襖裃がオソロ。
今回は万作家はゲスト的な立場って事から考えると、
この素襖は、又三郎さんチの装束でしょうか。

その素襖裃は、鉄紺色の無地ベースに、松皮菱切替で毘沙門亀甲の模様が入ったもの。
キリリと萬斎さんの白皙の美貌が際立ちます。

裕基くんは、蜜柑色ベースの亀甲模様の厚板に、水色の襟、掠れたような藍色の直垂。
直垂には、鶴亀、松の葉、笹の葉。
松の実の所だけポツリと白いのがキレイ。

信朗くんの侍烏帽子から剣先烏帽子へのチェンジは、橋懸りで執り行われました。
後見座ではなく。

三番叟では、ボディ横向き・フェイス前向き、というヒネリ所作に、ビックリ。

ヒネリ、といえば、鈴之段では、鈴を縦に振らずに、ひねるように回して振るのが目新しかったです。

鈴のフォルムも万作家の鈴とは違い、ソフトクリームのような螺旋状の骨組に、鈴が点々と吊るされたデザイン。

万作家の三番叟と、あまりに違うので、私は興味津々。
後見座の萬斎さんも、時おり伸び上がるようにしてご覧になっておられ。

三番叟と面箱持の問答も、初めて耳にするセリフ。
裕基くんのセリフの中で、
「としごろのほうばいつれともだち」
と聴こえたフレーズがあったのだけど、
漢字にすると
「年頃の朋輩、連れ友達」
でしょうか。

これって、又三郎さんチに伝わるセリフってこと?
それを裕基くんが教わって、又三郎さんチの様式に倣った問答とされた、ということかしらねー


「昆布柿」 
奏者が野村萬さん、
丹波国の百姓が野村万之丞さん、
淡路国の百姓が野村拳之介さん。

笛が成田寛人さん、
小鼓が田邊恭資さん、
大鼓が柿原孝則さん、
太鼓 小寺真佐人さん。
 
萬さんの素襖裃は、雪の結晶の模様。
形状も、様々なパターンがあって、繊細な美しさでした。


「朝比奈」
朝比奈義秀が又三郎さん、
閻魔大王が萬斎さん。

囃子方は先程の「昆布柿」メンバ。

後見は、
裕基くん&野村信朗くん。
さっきの「翁」で狂言後見を務めたお二人のご子息コンビ!

閻魔大王サマの腰帯は、紺地にコーラルピンクのイナヅマ紋。
カッコい~

このイナヅマの色が、
赤頭の朱色と響きあって、閻魔サマの内部にひしめくボルテージが具現化されてるかのよう。

白地に紺&茶&テールグリーンの格子の厚板の上に、
アウターとして、ハデハデの段替の厚板。
紺地に丸文の狂言袴の括り袴。
脚絆は黒地に金の七宝繋、

閻魔大王サマの次第の謡をリフレインする裕基くんのお声が、閻魔大王サマにソックリで、嬉しさに身震いしてしまう。

そして、閻魔大王サマの可愛らしさ爆発です!
「節分」の鬼に匹敵するチャーミングさ。

こんなにも萬斎さんの魅力が輝くお役を、今まで隠してたなんて、けしからん~
萬斎さんさんてば、出し惜しみし過ぎ。

いやいや、しかし!
「朝比奈」にご出演なさるなら、ファン心理としては、朝比奈をやって欲しいって、なっちゃいますものねー

これは、あんみつor豆かん問題とでもいいましょうか。
日常的に甘味屋さんに行くわけじゃないから、
大切なこのチャンス、どっちか1つだけと言われると、
豆かんにも惹かれるけど、
うーん
うーーん
やっぱ、あんみつだ!
・・・ということを繰り返してると、なかなか、豆かんチャンスが巡ってこなくなる、という。

つまり、しょっちゅう掛からない「朝比奈」だからこそ、
閻魔大王にも惹かれるけど、
うーん
うーーん
やっぱ、萬斎さんにやっていただくなら朝比奈だ!

と、ファンは考えてしまうことでしょう。
閻魔大王だと直面が拝めないし。

で、このようなファン心理を汲んで、萬斎さんも、出るからには朝比奈の役、とお考えになるのが、自然なことですね。

今回は、翁の狂言後見として、70分間もガッツリ直面をお見せくださったので、お顔が見れない憂慮もなく、ありがたいことでした。


一調「船弁慶」 
謡が宝生宗家、
太鼓が小寺真佐人さん。


語「那須語」
奥津健一郎さん。
披キとのことです。

登場人物のスイッチングの時、シテ柱の方に移動する、という仕組みが新鮮。
万作家バージョンでは、目付柱の方に移動するのに慣れ親しんでいたので。

移動の仕方が、これまた新鮮で。
片膝を交互に進める膝行ではなく、正座したままズズズーッと!

茶道では、「にじる」所作として馴染みがあるけど、茶道のシーンより、長距離かつ高速で。

扇が海にサッと入る、の時は、体は右を向いておられ。
やっぱり、ヒネリが又三郎さんチの特色なのでしょうか。


「鳴子」 
太郎冠者が野口隆行さん、
次郎冠者が奥津健太郎さん、
主が松田髙義さん。

肩衣のバックに、レンコンの断面がドーンと。
剰りに大きくて、最初は何の絵なのか判らなかったほど。
こういうの好きです!

主の素襖裃は、笹の葉の柄だったんだけど、半数くらいの葉っぱには、黒い⚫️が。
これは虫食いの穴?

草間彌生の先をゆく前衛デザインですねー