萬斎さん観賞と日本画修得の日々

吉祥寺で一棚だけの本屋さん(ブックマンション,145号,いもづる文庫)を始めました。お店番に入る日や棚のテーマ更新は、Instagramでお知らせします。

「梅流会」を観る

5月16日、梅若能楽学院会館へ。

最初に仕舞4番。
「玉ノ段」高橋栄子さん、
船橋」三吉徹子さん、
西行桜」鈴木矜子さん、
「藤戸」富田雅子さん。

地謡は、梅若紀彰さんを地頭に、梅若長左衛門さん&
松山隆之さん&
山中景晶さん。


狂言入間川」。
大名は萬斎さん、
入間の何某が中村くん、
太郎冠者が飯田くん。

後見が深田さん、
幕が淡朗くん。

萬斎さんは、鬼瓦の素襖裃、
サーモンピンク&淡黄色&
裏柳色の断熨斗目。

素襖裃のお姿、久々に拝見しました。
「ここが渡り瀬じゃ」とか云いながら、ザブザブと川を押し渡っていくお姿、好きです。

長袴の捌きに川の流れの抵抗が感じられ、さらに、袴が濡れて重たくなった感じもあり。

逆さ言葉に大喜びする無邪気さも、可愛い。
長期出張が無事に終わっての帰り道ってこともあり、開放的なモードになってたんでしょうねー

そう思えば、これきしのこと、どうってことないです。
飯田くんも、「大概になされませ」と言いつつも、あんまり本気で制止してないっぽい。

ご主人様のこの程度の羽目外しくらいは、はいはい想定内、想定内、くらいの余裕があるもの。

飯田くんは、今回のようなクレバーな太郎冠者がお似合いになります。


素謡 「八島」。
シテが伶以野陽子さん、
ツレが野崎美さん、
ワキが井上貴美子さん、
ワキツレが井上須美子さん。

地謡は、富田雅子さんを地頭に、上記4人と、
高橋栄子さん&
三吉徹子さん&
鈴木矜子さん。

ワキ&ワキツレのお二人が地謡もされているってことは、この方々もシテ方ということなのでしょうね。

義経がめちゃくちゃカッコいい!
そして地謡もカッコいい~

特に、「今日の修羅の敵は誰ぞ、なに能登の守教経とや、あら物々しや・・・」の辺りからからの盛上りに、ゾクゾクしました!!


能 「東北」
シテが(都の女&和泉式部の霊)が
山村庸子さん。
ワキ(旅の僧)が則久英志さん、
ワキツレ(従僧)が舘田善博さん&梅村昌功さん。
アイが内藤くん。

笛は松田弘之さん、
小鼓は大山容子さん、
大鼓は原岡一之さん。

地謡は、山崎正道さんを地頭に8人編成。

前シテの色入の唐織が、とんでもなく美しい。
今まで観てきた唐織のなかでナンバーワンです。

私は基本的には、色なしの唐織の方が好みなんだけど、宗旨替えしてしまいそう。

変わり横段のように配された黒いライン(牛車の屋根?)が、ピリリと効いていて、たまりません!

柄の細やかさや、朱色の発色の柔らかさに、ただもう、ウットリでした。

シテの方は、たいそう小柄な方だったので、もしかしたら昔の装束をお召しになれたのかしら?

以前に聞いたことがあるのですが、昔の装束の「写し」を作っても、やっぱり元の物の方が素晴らしい、でも元の装束はサイズが小さくて着れないものが多い、と。

八掛にも地模様が施されていて、コダワリが楽しい。
贅を凝らした、とゆーのは、こんな装束に使うワードなのでしょうね。

後シテの摺箔が、これまた素敵で。
ゴールド梅とシルバー梅がびっしり。
そうそう、この演目は、和泉式部が愛でた梅にまつわるお話なのです。

テッテー的に地謡とお囃子を浴びた~、という満足感に満たされた公演でした。

今回の公演では、番組表とは別に、梅若実センセによる解説の用紙もいただきました。
「東北」にまつわる、お祖父様と玄人のお弟子さん(?)とのお話が、随筆のような味わいでした。