萬斎さん観賞と日本画修得の日々

能楽や展覧会の観賞の感想を書いています

「華の碑文ー世阿弥元清」(杉本苑子著) を読む

今更ながら、杉本苑子さんの作品を初めて読みました。
面白かった!

3/19放映の「俺の家の話」に、
「家、家にあらず、継を以て家とす」という世阿弥の言葉が出てきたけど、
まさに、このことが体現されている作品。

晩年の世阿弥って、なんとなく不遇の人、というイメージがあったけど、
それが気持ちよく裏切られました。

この作品を読むまでの世阿弥イメージは、
若くして成功を納めたけど
自分の子供は早世しちゃうし、
佐渡に流されちゃうし、
失意のなかで生涯を終えた人
・・・だったんだけど。

いやいや、世阿弥は、ヨッシャーってくらい、満足して亡くなったのねー、と。

世阿弥の願いは、お能が後世も上演され続ける、ということで、
それ以外は、あんま重要じゃない、と思っていたっぽい。

そして、そのために入念に手を打って、
願いが叶うことを確信してたっぽいもの。

これは作者の杉本苑子さんの解釈も入っているのでしょうが、
それでもいい!
その解釈、私も乗った~、と喝采したくなりました。

前半は、義満に見初められる辺りから、メキメキ頭角を現してゆく、輝かしい展開。
サクセスストーリーとしても前半は面白いのですが、
客観的には暗転していくかにみえる後半が、ますます面白い。

この作品を読んだきっかけは、友人から、とある漫画との相似を教えて貰ったため。

それは、木原敏江さんの「夢幻花伝」という作品で、世阿弥の前半生のお話。

初めて読んだのは、三十数年前で、当時の私は、お能なんて観たこともない高校生。
そんな大昔に読んだ漫画でしたが、
「華の碑文」を読み初めてすぐ、わかりました。

木原敏江さんは、間違いなく
「華の碑文」をお読みになって、この漫画を掛かれたに違いない!と。

ストーリーが似ているのではなく、世阿弥の人となりや、作品を流れる空気が、そりゃもぉ、雄弁に語っています!!

そうですよねー?
木原さん??
と、馴れ馴れしく心中で何度も呟きつつ、ページをたどりました。

ということで、
「俺の家の話」が盛り上がっている(私の周りでは大盛り上がりです)いまこそ、
併せて読みたい2作品のご紹介でした。