萬斎さん観賞と日本画修得の日々

能楽や展覧会の観賞の感想を書いています

「第二回 士乃武能」を観る

2月7日、国立能楽堂へ。

ロビーには、今回の公演チラシのイラストを描かれた天野喜孝さんの原画が。

私は黒ガシラのフォルムが大好きなんだけど、そのテイストを汲みつつも、
でも、写実寄りになりすぎず、
しっかり天野喜孝さんワールドになってました。

座席は、市松の50%。

一調「春日龍神
中村昌弘さん&吉谷潔さん(太鼓)

今回の番組の中で、これだけが義経ガラミじゃないのは、なぜ?
と思ったら、ちゃんと番組表に解説が。

「会の最初は派手にファンファーレ的な曲を」という意図なのですって。

仕舞「八島」 金春憲和さん、
仕舞「吉野静 キリ」金春安明さん、

仕舞「二人静 クセ」
辻井八郎さん&井上貴覚さん。

袴で舞う「二人静」は、足拍子も完全に揃ってるのがよく分かりました。
以前にお能で観たときは、足元は縫箔で覆われていたので、そこまではわからなかったけど。
通常は縫箔で見えないのに、
こんなに綺麗に揃えておられるんだ!

地謡の方々は、直面で入場してこられ、それから後ろを向いてマスク装着する、という新スタイル。

マスクは、暖簾タイプで、鎖骨のチョイ下くらいのまでの長さ。

狂言「千鳥」 
太郎冠者が萬斎さん、
主が高野さん、
酒屋が石田さん、
後見が岡さん。

太郎冠者さまは、若葉色の格子の縞熨斗目、並び扇の紋の腰帯、納戸色の狂言袴。
灰色がかった山葵色の地に、大胆に白梅を配した肩衣。
チャコールグレーの梅の幹が効いてます。

太郎冠者は、酒樽を網のつもりの設定にしよう、と、かなりの無茶発言。

酒屋は
「ははぁ、それが網か・・・
なるか!」
と。

これを、現代語風に言うなら
「ははぁ、それが網か・・・
てか、なるかいっ!」
て感じにでしょうか。

ノリツッコミの元祖は、この酒屋さんだったのねー

ラスト、太郎冠者さまは
「おンマが参る! おンマが参る!」
と跳ね駆けてゆきました。

早春の一陣の風のように、華やぎのなかに内包された、キリリと鋭い冷感冷さえも、嬉しくなってしまうような、そんな疾走でした。

仕舞「船弁慶 クセ」本田光洋さん、
仕舞「船弁慶 キリ」山井綱雄さん。

こちらの地謡も、登場後に後ろ向きでマスク装着スタイル。

休憩の後に、金子直樹先生による解説。

今回、金子先生のお話で私が学習したことの1つは、
船弁慶の後シテが頭に付けてるアレの名称。
「クワガタ」というのですって。
そのまんまのネーミングなんだ。

そして、間狂言の説明を丁寧にしてくださったのが有難かったです。

この演目の間狂言(船頭)の場面は、いくつかのシーンがカットされがちなんだけど、今回は全部入りです、とのこと。
そのカットされがちシーンとは、
下記の3つ。

①宿借りのシーン
②送り込みのシーン(義経と別れたあとの静を、船頭間が送って行く)
③訴訟のシーン(将来は、自分を船奉行に取り立ててくださいよ、と船頭が頼む)

今回の間狂言は、裕基くんが格子のお勤めになり、初役とのこと。

今後は省略版もなさっいくのでしょうが、
まずは正式版を体験させておこう、というお父様の親心でしょうか。

シテ方の先生のご理解なしには成り立たないでしょうから、高橋忍さんもご賛同くださったのですね。

記念すべき初役、かつ、全部入りを観る機会に恵まれ、感謝です。

能「船弁慶 遊女ノ舞 替ノ出」
静&知盛が髙橋忍さん、
義経中村優人くん、
弁慶が殿田謙吉さん、
従者が御厨誠吾さん&野口能弘さん、
船頭が裕基くん、

笛が藤田貴寛さん、
小鼓が鵜澤洋太郎さん、
大鼓が安福光雄さん、
太鼓が吉谷潔さん。

裕基くんは、レモンイエローの地に濃紺の公私の縞熨斗目、紺の襟、濃紺地に碇の肩衣、褐色(かちいろ)の狂言袴。

くぅ~っ
カッコイイ!

狂言袴は、パリッと張りがあり、丈もぴったり。
今回のお役の為に、裕基くんレングス仕様で、新しく誂えられたのでしょうか。

声が!もう最高です。
萬斎さんと同様に、常の狂言のときより、更に重低音のお声。

「波よ、波よ波よ波よ波よ、しーっ」も、気持ちよくキマってました!

でも、撃退されてしまう知盛に、なぜか肩入れしたくなってしまうんですよねー

とても充実した時間でした!