萬斎さん観賞と日本画修得の日々

能楽や展覧会の観賞の感想を書いています

「第23回 長島茂の会」を観る

10月24日、喜多六平太記念能楽堂へ。

最初に、金子直樹先生による解説。
ツレの人丸(景清の娘)の従者の配役に関する話が面白かったです。

今回は喜多流なのでワキツレがなさるけど、ある大きな流派(観世流派とは口にされず。)は、トモ(つまりシテ方)がなさるのだとか。

というのは、ツレと従者が一緒に
謡うところがあるので、同じ流派どうしでないと、合わせるのが難しいのだそうで。
ましてや、ワキ方にも3流派あって、それぞれ異なるので、
ツレが一緒にその全パターンを覚えるのは大変、という事情があるのだそうです。

更に、面と装束についてのお話も。

喜多流で使われる景清の面には髭があり、装束には大口を用いるのに対し、
他流では、髭なしの面を用いたり、大口を付けずに着流しにすることもある、と。

髭あり&大口つきだと、かつての勇壮な姿を表し、髭なし&着流しだと、今の零落した姿を表している、とも。

仕舞「鐘之段」
友枝昭世さん。

狂言「鶏聟」
舅が萬斎さん、聟が裕基くん、 教え手が深田さん、太郎冠者が月崎さん。

萬斎さんは、辛子色の唐草模様の素襖裃に、錆鉄色の段熨斗目、侍烏帽子。

裕基くんは、ワインレッドの
松皮菱の素襖裃に、紅白段熨斗目、侍烏帽子。
10/22の「末広かり」で萬斎さんがお召しだった段熨斗目より、赤みが鮮やか。

同じ舅&聟の配役を、2017年1月に大槻能楽堂で拝見しましたが、そのときより裕基くんが吹っ切れてる、というか、突き抜けてる。

ニワトリ鳴きを照れなく、高らかに!

この曲とか梟山伏は、テッテー的に突き抜けて爆発すると面白くなるのですね。

・・・と、感嘆していたのですが、応対する萬斎さんは、その遥かに上を越えてゆく突き抜けっぷり!

二人して、めちゃくちゃバカバカしいことをやってるのに、不思議と品格が保たれています。

お二人揃って、このうえなく端正なビジュアルに、荘厳なお声、かつ、キレのある所作っていうのがポイントなのかも。

能「景清」
景清が長島茂さん、
人丸が大島輝久さん、
その従者が梅村昌功さん、
里人が森常好さん。
 
大鼓が國川純さん、
小鼓が大倉源次郎さん、
笛が槻宅聡さん。

地謡は、友枝昭世さんを地頭に8人。

久々の8人!
マスクなし、シールド板なし、
見所も、ソーシャルディスタンス 目的の空席なし。
まるでコロナ以前の空間が戻ってきたかのようでした!

とはいえ、入口の検温&消毒はあるし、
2階の休憩コーナーは未だ飲食禁止(水分補給のための飲料のみ許容)でしたが。

人丸の唐織が、びゃくろく色&オレンジシャーベット色の段替。
キレイ~
まるでシテの装束みたいに凝ってる。

面も、ツレっぽくなくて、シテみたいな渾身のプリティーフェイス。

景清の面は、横向きに限りなく近い斜めアングルがカッコいい。

面の陰からのぞく、長島茂さんご自身の顎と首もカッコいい。
余分なものを全て削ぎ落としたような、ストイックなラインでした。

ところで、この曲って、蝉丸ちっくな要素もあるのですね。

片方が盲目ということだけじゃなくて、せっかく巡り会えた肉親どうしなのに、また離ればなれになっていくという所が。