萬斎さん観賞と日本画修得の日々

吉祥寺で一棚だけの本屋さん(ブックマンション,145号,いもづる文庫)を始めました。お店番に入る日や棚のテーマ更新は、Instagramでお知らせします。

「能を知る会 鎌倉公演【昼の部】」を観る

10月21日は、朝の部が終わり、
長谷の裏路地散策&ランチなど楽しんだあと、
再び鎌倉能舞台へ。

昼の解説は、朝と同じく「能の小道具・作物」をテーマとされつつも、朝とは別のグッズについて。

数珠の珠の形は2種類あり、ソロバン型の珠が山伏用、丸い珠がお坊さん用なのだとか。
うーん 知らなかった。

杖のお話も。
役の種類によって杖の長さが違うんです、と長さの違う現物を見せてくださったのだけど、え?それ誤差範囲じゃないの?
・・・と、大雑把な私は思ってしまう。

付いたときの身体感覚とか、ビジュアル的な印象とかに、鋭敏な方々が作り上げてきた芸能なのですねー

あと刀のお話も。
刀は、ツバに至るまでオール木製なんだそうです。
金属だと重いってのもあるけど、刀を投げ捨てるシーンがけっこうあるので、能舞台の床を痛めないように、との意図なのですって。

狂言「成上り」
太郎冠者が萬斎さん、主が飯田くん、すっぱが深田さん、後見が月崎さん。

太郎冠者サマは、山葵色地にマーガレットちっくなお花が配された肩衣、
白地に紺&山吹色の格子の縞熨斗目、紺の襟、梅紋の腰帯、
茄子紺の狂言袴。

なんと可憐な肩衣!
マーガレットの配置に動きがあって、波を模したデザインのようにも、
はたまた風にそよぐコスモスのようにも見えます。

太刀が竹竿にすり替わったのに気づいた瞬間の太郎冠者サマってば、かわいかった~

かと思うと、
「ここに足を入れおれいヤイッ」は、キメッキメに。

渋い重低音ヴォイスと、マヌケなシチュエーションとのギャップのせいで、可笑しさ倍増です。

さいごまで、主に早く追いかけて!なーんて言い放ったりして、コノヒト、ミスしたのは自分と思ってないよね。

会社にも、こーいう人いるいる。
萬斎さんのような愛嬌はないけど。

能「熊坂」
僧&熊坂長範が中森健之介くん、
旅僧が野口琢弘さん、
里人が石田淡朗くん、

大鼓が大倉慶乃助さん、小鼓が幸正昭さん、笛が藤田貴寛さん、太鼓が小寺真佐人さん。
地謡は貫太センセを地頭に4名。

長刀を操る手が、とても表情豊か。
長刀の動きだけじゃなくて、手でも力強さを表現できるのですね。

長刀が装束に引っ掛かってしまった場面があったのだけど、この時は後見が舞台にはおられず。

こういう時って、どうするのぉ?
とハラハラしていましたが、
地謡座の桑田貴志さんがお気付きになり、スワ!という感じで立ち上がって救出に向かわれました。

幸いその直前に、健之介くんが自力で解決なさったのだけど、
地謡メンバは臨機応変に後見にもシフトしちゃうんだから頼もしいです。

その健之介くんですが、
ご自身の背後に腕を回しこんで、絡まった装束から長刀を自力で引き抜かれたのです。
まるで後ろに目がついているかのような的確な動きでした。

今回の演目って、ワキもアイも、けっこうセリフが多くて大活躍。

淡朗くん、こんなに語りがガッツリある間をなさるの、初めて聴きました。
ベテランの風格があるの何故?
お父さまのテイストも感じられました。