萬斎さん観賞と日本画修得の日々

吉祥寺で一棚だけの本屋さん(ブックマンション,145号,いもづる文庫)を始めました。お店番に入る日や棚のテーマ更新は、Instagramでお知らせします。

「狂言ござる乃座61s」(第3日目)を観る

8月30日、宝生能楽堂へ。
 
最初に、小舞。
高野さんが「八島 前」、深田さんによる「景清 後」。
 
第2日目の時は、
深田さんによる「八島 前」と、高野さんによる「八島 後」でしたが、
単純にお役をチェンジではないんですね。
 
小舞に続いて、狂言「清水」。
太郎冠者が萬斎さん、主が石田幸雄さん、後見が月崎さん。

太郎冠者サマは、卵色の格子の縞熨斗目、紺色の襟、苔色の地に大きくトンボが配された肩衣。
太郎冠者サマに羽根が映えているかのようにも見えてきます。
 
この日は、あいかわらず残暑が厳しい気候でしたが、
太郎冠者サマが暗躍する清水のほとりは、木々が濃い緑の陰だまりを作り、涼感がただよっておりました。
 
休憩15分を挟んで、裕基くんの「奈須與市語」。
切戸口をくぐって、スッと上体を起こすお姿に、ダブルでハッとなる。
 
8/12に拝見した時から、またも背が高くなられたように見えての「ハッ」が1つ。
もう1つは、上体を起こすときの雰囲気が萬斎さんに酷似していての「ハッ」。
所作が似てるのか、はたまた、今からスイッチ入るぜぃ、という瞬間のオーラが似ているのか。。。
 
與市が祈念するシーンは、與市と、この語りという大舞台に挑む裕基くんがオーバーラップしてしまう。
決意するワカモノとは、とんでもない煌めきを発っする生物であるらしい。
 
後見は、今回も萬斎さん。
太郎冠者ルックから、淡い浅葱色の紋付裃にチェンジ。
ポーカーフェイスの綺麗なお顔。
 
続いて、枯葉色の袴に早着替えされた萬斎さんの一調「髭櫓」。
太鼓は金春惣右衛門さん。

番組表の記載によると、この一調は、大川典良さんと萬斎さによる創作で、この度が初演だそうです。
 
一調って、こんな荒唐無稽な曲でやるのもアリなんですねー
ふざけた内容(ほめてます)と、深い低音のお声とのギャップがいい!
 
つづいて、観世淳夫さんによる舞囃子屋島」。

なるほど、ここで「屋島」が入っているから、フカタカコンビの小舞では「八島 後」を避けられたのですね。
詞章がカブらないように、というご配慮でしょうか。

義経をとりまく世界観をくまなく張り巡らせて、テッテー的に観客を楽しませよう、という万作家のサービス精神、だいすきです!
 
休憩を挟んで、狂言「庵の梅」。

お寮さんが万作さん、
お寮さんチに遊びにくる女子たちが、萬斎さん&太一郎くん&中村くん&内藤くん&飯田くん&石田淡朗くん。
後見がフカタカコンビ。
 
万作さんのお着物は、雪持ち笹。
萬斎さんの扇が雪持ち椿。
ぷちリンク!

舞をリクエストされて、恥じらうお寮さんの様子が愛らしい。

狂言に出てくる女性は勝ち気なタイプが多いけど、お寮さんも昔は同様で、歳を重ねて今のような人となりに至ったのかしらねー

確かに、癒し系な柔和さの中にも、芯のつよさが感じられるヒトでした。

特筆すべきは、萬斎さんが凄絶な美人だったこと!
後見の時も含め、どの演目の時も、やたらと美しかったけど、この縫箔&美男鬘のお姿は別格でした。

そして、ビジュアルを越えるインパクトで迫ってきたのは、謡の美しさ。
女子たち全員で歌っているのに、萬斎さんのお声がいちばん響きわたる~

誰かが失敗するわけでもなく、
争いをするわけでもないけど、
ずっと観ていたい至福の女子会でした。