萬斎さん観賞と日本画修得の日々

吉祥寺で一棚だけの本屋さん(ブックマンション,145号,いもづる文庫)を始めました。お店番に入る日や棚のテーマ更新は、Instagramでお知らせします。

「狂言ござる乃座61st」(第2日目)を観る

8月12日、宝生能楽堂へ。
第1日目の興奮さめやらぬまま、中1日を経て、ござる第2日目です。

この日は、ふかたかコンビの小舞「八島」で幕開け。
深田さんが「八島 前」、
高野さんが「八島 後」。

第1日目では後見に徹しておられたお二人に、最初にスポットがあたる番組だて。

続いて「千鳥」。

太郎冠者が萬斎さん、酒屋が三宅右近さん、主が井上松次郎さん。
後見が三宅近成さん。

太郎冠者さまは、苔色の地にトンボが大きく配された肩衣、白地に紺色&枇杷色の格子の縞熨斗目、テールグリーンの狂言袴。

萬斎さんと右近さんの息がぴったり!

酒屋は、太郎冠者のペースにすっかり乗せられてるのかと思いきや、フト
「米は遅いのぉ」
と問い掛けたりして、なかなか手ゴワイのです。

私の近くの席の男性が、何度もブハハッ て吹いてらして、嬉しくなってしまう。


裕基くんの「奈須與市語」

裕基くんは、浅葱色の紋付の長裃、裾が白く暈しになっている鉄紺色の着付。
この暈しの部分が、ブルーチーズちっくに、ほんのり淡い格子が入っていて、涼感バツグン。

1日目のキメキメな装束も素敵でしたが、今回の装束も捨てがたい。

一日目の裕基くんの装束のこと、書き落としていたので、ここで書いておくと・・・

黒と小豆色が松皮菱で切り替わっている鎧ちっくな変わり格子の長裃、瑠璃紺色の段熨斗目、という格調高いお姿でした。

扇を射るように、と差し招く女官にスイッチングした時の手が、形も動きも、うつくし~


後見は、今回も萬斎さん。浅葱色の裃。
美人!

裕基くんの後見なさる時って、おとうさまの顔つきになっておられることあるけど、この日は寂然としておられる。

その視線は裕基くんを忙しく追いかけることなく、一点に定められており。
裕基くんを信じ切ってるかのようなお顔です。


休憩を挟まずに、萬斎さん&小寺真佐人さんによる一調「貝尽し」。

萬斎さんは、退出された数分後に、黒紋付に枯葉色の袴で再登場。
数分で、裃から袴にチェンジされたのですね。

お召し物のチェンジだけでなく、後見モードから、演じ手へのモード切替もできちゃうってスゴイ。
ぬめっとしたお声が艶やかです。


続いて、大槻文蔵さまの舞囃子「安宅」。
端正で知性的な弁慶さま。

ところで、開演前に早めの夕食のために入ったカフェに、きれいなオーラをまとったダンディーな男性がいたのですが、
なんと洋装の文蔵さま!

白いシャツにイエローベージュのチノパンという、カジュアルコーデながら、ノーブル感の漂うお姿でした。


「庵の梅」。
老尼・お寮さんが万作さん、

お寮さんチに遊びにきた女子たちが、萬斎さん&太一郎くん&中村くん&内藤くん&飯田くん&淡朗くん。

後見が、ふたかたコンビ。

んぬぅー 萬斎さんてば、さっきより美貌に凄みが増してる!
濃紺の縫箔に、美白フェイスが映えます。

並み居る女子たちのなかで、萬斎さんが一際うつくしいって、どゆこと?

イケメンぞろいの若手くんたちが扮しておられるだけあって、他の女子たちも高偏差値なのに。


みんながお寮さんを慕っていて、それが、目上のひとを労わるような感じではなくて、
憧れの頂点にいる先輩に対するように慕ってる風なのが微笑ましい。

敬愛の念を抱きつつも、気持ち的な距離はとっても近い感じ。

みんなが帰っていく後ろ姿を、ちょっと伸び上がるようにして見送るお寮さんが可愛らしい。

でも、一人残されても孤独な感じはなくて、みんなといる時間も楽しむけど、一人の時間も愛おしんで生活しているひとなのねー、と思わせてくれる。

大人の女性の魅力が香るお寮さんでした。