萬斎さん観賞と日本画修得の日々

吉祥寺で一棚だけの本屋さん(ブックマンション,145号,いもづる文庫)を始めました。お店番に入る日や棚のテーマ更新は、Instagramでお知らせします。

「野村万作・野村萬斎 藤沢狂言会」を観る

2月22日、藤沢市民会館へ。

最初に萬斎さんによる解説。
埼玉公演以来、1ヶ月ぶりの萬斎さんの解説~

黒紋付、いい!
角帯はシルバー&ブラックの市松。

きょう初めて狂言をご覧になる方~、と挙手を誘うべく、ご自身も挙手。
前腕の内側! きれーだー

私はこのところ自分の腕を描いていて、この日の午前中も自分の腕と睨めっこしながら岩絵の具と格闘してきたところだったので、

同じ腕ならコッチのモチーフが断然!!モチベーション上がるんだけどなー・・・と思わずにいられません。

“この辺りの者でござる”のご説明の中では、
「今年はニューヨーク辺りで、“この辺りの者でござる“と、おそらく言うと思います。」と。

で、検索してみたら、↓これがヒットしました。

https://www.japansociety.org/page/support/annual_dinner

6/18、18:30開始って書いてあるけど、萬斎さんは6/18は、梅若研能会にご出演のはず。

国境を越えてのダブルヘッダー
確かに不可能ではないけど、強行軍にもほどがある。
どうかどうか、ご自愛くださいませ。

太一郎くんの小舞「景清 後」
地謡は、萬斎さんを地頭に、内藤くん&飯田くん。

萬斎さんが解説で、景清の謡の内容も丁寧にご説明くださったこともあり、
あ、いま太一郎くんは景清になってる、
おっ、いまは三保谷四郎にスイッチングした、
と、克明にわかり、存分に楽しめました。

戦の場面なのに、爽快感さえ感じられるカッコイイ小舞。
萬斎さんの謡のお声も、かっこよかったー


「萩大名」
万作さんが大名、淡朗くんが太郎冠者、高野さんが亭主。
後見が飯田くん。

万作さんの素襖裃が、とっても好み。
山葵色の地に、猛りうねる波と帆掛け船が染め抜かれています。波のごく一部に、淡く裏葉柳色が入ってるトコがたまりません。

そして、とにかく立ち姿がサマになる。
ラスト、亭主に呆れられて、悄然と立ち尽くすところとか、空間まるごとがドラマチックになる。


淡朗くんに、この太郎冠者のお役、似合う。

萩大名の太郎冠者って、数ある太郎冠者の役の中でも、クレバーなタイプの気がしますが、に良くマッチしてました。


「悪太朗」
萬斎さんが悪太郎、石田幸雄さんが伯父、内藤くんが僧。
後見が太一郎くん。

前場の萬斎さんは、蜜柑色に金糸でトリーバーチのロゴみたいな模様が入った燕尾頭巾(燕尾頭巾の名称は、解説でお教えくださいました)、

紺のギンガムチェック風の格子の縞熨斗目、紺の襟、濃紺地に白の輪宝紋の腰帯、紺の狂言袴。

アウターは、紫&蜜柑色&緑の格子と、オリエンタルな模様の段替の厚板。

悪太郎さまってば、
石田さんに絡むこと、絡むこと。

泥酔して長刀を振り回すとこ、乱暴さのなかにエレガントな華がある。
このエレガントさって萬斎さんでなく、悪太郎の持ってるもの?

後場の素直さの萌芽が、ここにも表れてるのね、きっと。


後場では、南無阿弥陀仏と呼ばれて悪太郎が返事をするたびに、ウケにウケる子供ちゃんの笑い声。

これがもー 気持ちいいほどの、楽しそうな大爆笑で。

陰鬱なニュースばかりテレビから流れてくる日々だと、ことさら嬉しく感じられる笑い声でした。


それと、悪太郎サマの、喉が、ですね、自分史上最大によく見える、奇跡のアングルでして。私のお席が。

これがオッソロシク、うつくしい。

酔った態で横たわったりなさった為か、いつもより、ほんの少~し、たぶん1センチにも満たなくらいのモンだと思うけど、襟の合わせ目が下だったのかと。

といっても、音声を発しておられないときは、キッチリ襟もとは合わさっているのです。

セリフを仰ったり、謡をうたわれたりすると、のどぼとけの下がキュウッと凹んで、凹んだせいで襟の合わせ目が緩んでしまう、と。

鎖骨と鎖骨の間の窪みギリギリくらいまでが露出する。
白皙の首元!

というか、凹んでる時って血管の色が殊に透けて白皙どころか、青白磁色といった感じ。

うーわーおぉ
錯覚か?と思ったのだけど、何度も、その奇跡のアングルでお声を発してくださるので、これは見間違いようが無いのでした。