2月15日、はじめて高崎駅に降り立ち、高崎芸術劇場のスタジオシアターへ。
ペデストリアンデッキなる屋根付きロードが駅から続いているので、アクセス性はバツグン。
雨を気にしなくいてよい劇場っていうのは、ポイント高いです。
セタパブや銀座能楽堂も然り。
「翁」
翁が観世宗家、三番叟が萬斎さん、千歳が三郎太くん、面箱が裕基くん、
狂言方後見が中村くん&高野さん。
笛が一噌隆之さん、小鼓頭取が鵜澤洋太郎さん、脇鼓が吉坂一郎さん&田邊恭資さん、大鼓が広忠さん。
裕基くんの直垂は、露草色&群青色の亀甲模様に鶴亀が控えめに配されたもの。
鶴亀は緑青色で、鶴の頭部と足に朱色が灯されています。
すてきな装束~!
初めて見るデザイン。
袴の丈もジャストだし、新調されたのでしょうか。
最近の裕基くん、ツンツルテン気味なこと多かったもの。
そういうファッションとして整列させてしまう説得力はあったけど。
ふくら脛のフォルムがキレイなんだもの。
裕基くんが掲げ持つ面箱は、茜色に無数の金色の千鳥が散りばめられた物。
面箱の色と、直垂の鶴の朱色が響きあって美しいです。
厚板は、淡い朱色とゴールドの段替。大きめの紗綾形の模様が入っていて、色調は優しげながらキリリとした印象。
萬斎さんは、鉄紺色に鶴亀・松が染め抜かれた直垂に、朱色・緑・金糸の格子の厚板。
広忠さんの素襖裃は、濃紫色の松皮菱模様。筋目の部分は唯の白抜じゃなくて細く蜜柑色のラインが入っていたような。
大鼓の紐の色とリンクさせることを意図して、誂えられたのでしょうか。
素襖裃の中にお召しのお着物は古代紫色。
黒式尉サマの問答のお声にゾクソクしました。
対する裕基くんのお声も、負けずにいい~
鈴之段の時に気づいたのですが、萬斎さんの首筋を伝い流れる汗が。
アスリート並の運動量なのに、これでもかってくらい装束を重層なさってるんですもんねー
今回の能舞台は、けっこう高さが低めで、しかもお白洲もないので、舞台がとーっても近い。
萬斎さんが袂を翻すと、客席にまでブワッと風がくる、とゆードキドキの近さでした。
面替のシーンが近づいてくると、ほんとに、こんなに近くで面替が観れちゃうの?
そんな嬉しいことがホントに今から起こるのか?と半信半疑。
でも、ほんとに起こりました。
足をクロスしたお姿にも、面替の最後に撥ね上げる顎にも、硬質な美しさが煌めきます。
鈴之段が終わって、黒式尉の面を外し、ふっと鎮まってから人間に戻って、ツっと立たれたご様子も、印象的。
呼応して、ワキ座に控えていた裕基くんも立ち上がられるのですが、おそろしいほどのタイミングの合い方。
裕基くんの視界には、萬斎さんが映り込んでいないはずなのだけど。
「二人袴」
親が萬斎さん、婿が裕基くん、舅が高野さん、太郎冠者やが中村くん、後見が淡朗くん。
萬斎さんは常盤色の段熨斗目、金茶地に藤の腰帯。
裕基くんはサーモンピンクの段熨斗目、蜜柑色地にお花の腰帯。
長袴は上側がサーモンピンクで裾の方が紺色。
長袴を着せてもらった裕基くんは、段熨斗目からの色の繋がり方がナチュラルで、ロングドレスをまとっているかのよう。
裕基くんに、注意を促す萬斎さんの所作が好き。
扇でパシッとご自身の尾てい骨の辺りを叩いて、「気を付けて、お舞いやれ」とかって言うの。
連舞の時に気づいたのですが、お三方ともご自分の熨斗目の色と扇の色を揃えておられ。
萬斎さんは、常盤色の松に桜の扇。
裕基くんは、朱色地に桜の扇。
高野さんはグレー時に桜の扇。
くうううー
心憎い演出~!
みなさまで相談してセレクトされたのかしら。
半能「石橋」
白獅子が下平克宏さん、赤獅子が大槻崇充さん、寂昭法師が殿田謙吉さん、笛が一噌隆之さん、小鼓が鵜澤洋太郎さん、大鼓が井広忠さん、太鼓が小寺真佐人さん。
かっこよかった!
至近距離での迫力に、いつ息継ぎをすればいいのか分かんなくなるほどでした。
それを言うなら、揉之段の時は、もっともっと息継ぎ困難でした。
いや、これは苦情ではありません。嬉しがってるんです。
もちろん。