萬斎さん観賞と日本画修得の日々

吉祥寺で一棚だけの本屋さん(ブックマンション,145号,いもづる文庫)を始めました。お店番に入る日や棚のテーマ更新は、Instagramでお知らせします。

「第88回 野村狂言座」を観る

12月6日、宝生能楽堂へ。
石田幸雄さんによる解説。

「二九十八(にくじゅうはち)」。
男が内藤くん、女が月崎さん。

男が、観世音のお告げで示された場所へ向かうと、はたして佇む女性が。
照れつつ喜びに溢れる様が、内藤くんに良くお似合いでした。
      
「萩大名」。
大名が万作さん、太郎冠者が裕基くん、亭主が太一郎くん。

幕から現れた裕基くんに、ハッとさせられました。肩から上の空間が、まったくもって萬斎さんなんだもの。

萬斎さんは、空間を変えてしまうことが時々あるんだけど、その時の感じと同じ!

この日の裕基くんは、いつもの前髪重めスタイリングではなく、キッチリ七三分け。

大名は、亭主に和歌を請われても何のことやら判ってない様子。
そこへ太郎冠者が発する「うた」のお声が素晴らしい!!
声のトーンといい、マといい。

最強にクールビューティーな太郎冠者でした。
今までに観た裕基くんの太郎冠者の中で、ナンバーワンですー

「悪坊」。
悪坊が三宅右近さん、僧が萬斎さん、茶屋が石田幸雄さん。

悪坊から「手を引いてくれ」と頼まれ、僧はいやいや手を差しのべる。
とたんに、ガッと手首を捕まれてしまう。
わーおぉー
捕まれた手が絵になります。

しかし、虐げられっぱなしの萬斎さんではありませぬ。
悪坊の腰叩きをしてあげる辺りから、反逆スタート。
もーお、イキイキしちゃってるの、なんの。

出家の身にも関わらず、仕返しを目論んでない?
悪坊のためを思って、ではなく。
アドなんだけど、キャラ立ちが鮮やかなお役でした。

それと、酔いつぶれた悪坊が、目覚めた後にうたった謡が素敵だった。

素囃子「舞働」。
大鼓が大倉慶乃助さん、小鼓が鳥山直也さん、太鼓が澤田晃良さん、笛が栗林祐輔さん。

「鬮罪人」
太郎冠者が深田さん、主が高野さん、立衆が竹山さん&内藤くん&中村くん&飯田くん&岡さん。
   
深田さんの調子に乗りっぷり、愛嬌があって憎めません。
高野さんとの呼吸もぴったり。

この前週は、高野さんの主&深田さんの太郎冠者の「止動方角」を観たのですが、太郎冠者と主人のキャラ設定が似通った曲ですね。
その時も、お二人の息がぴったりでした。

フカタカの一方にいいお役を振ったら、同じような時期に、他方にも同格くらいの、いいお役を振る、という、万作さんのご采配に愛を感じます。

それとも、配役をお決めになってるのは、萬斎さんなのかしら。

次回は、1/16と17、なんと中村くんと内藤くんの節分が。
どっちも観るには、両日行かねばならないが、さて。