萬斎さん観賞と日本画修得の日々

吉祥寺で一棚だけの本屋さん(ブックマンション,145号,いもづる文庫)を始めました。お店番に入る日や棚のテーマ更新は、Instagramでお知らせします。

「MUGEN∞能 〜五周年記念〜」を観る

11月30日、観世能楽堂へ。
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屋島」。
「弓流」「那須語」の小書つき。

シテは林宗一郎さん、ツレは坂口貴信さん、ワキは宝生欣哉さん、ワキツレは則久英志さん&梅村昌功さん、アイは逸平ちゃん。

囃子方は、松田弘之さん&大倉源次郎さん亀井忠雄さん。大鼓後見は広忠さん。
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ツレの腰蓑の方がシテの腰蓑より豪華っぽいように見えちゃったけど、腰蓑をつけてるって時点で、豪華も何もあったもんじゃないのでしょうか。
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後シテの厚板が、すごーく素敵。テールグリーン&山葵色&柿色の段替に雪持笹。

後シテの面は、11/23に拝見した長山桂三センセの同曲の面とは、テイストがずいぶん違いました。

11/23の方が、現役の時はエキセントリックだった面影が、幽霊になっても感じられるお顔。

今回の面は、たまに会社にこういうヒトいる、というお顔。
フル回転で頑張り過ぎて自分のスピードが判んなくなっちゃってるヒト。
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茂山家那須を観たのは初めてかも。漢字が万作家とは違うんですね。

与一が義経の前にひれ伏す位置も違いました。
万作家は義経の右前方にひれ伏してましたが、茂山家義経の右背後に。

万作家のポジションだと、ソコは実基がさっき控えてた場所だよね?と気になっちゃうのでしょうか。

たまたま、11/23、11/24に万作家の奈須を聴いたばかりだったので、所作の違いなども、色々興味深かったです。
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それと!アイの装束も違う。
万作家は長裃だけど、茂山家は太郎冠者ルックでした。

装束の違いは、実は終盤まで気づかなかったのですが、語りが終わって、片脱にしていた肩衣を逸平ちゃんが元に戻す所作をなさったときに、
早っ・・・あっ 肩衣だから前裾にチョクでアクセスできるのか!と、気づいた次第です。

長裃の片脱を元に戻す方が、少し時間がかかる分、語りの余韻に浸れるので、私としては長裃を支持したいです!
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「二人袴」。
兄が逸平ちゃん、弟が太一郎くん、舅が萬斎さん、太郎冠者が高野さん。
太一郎くんが爆発的に可愛らしい!
逸平ちゃんとの仲睦まじい兄弟っぷりが、微笑ましい。
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そして、舅サマが、舅らしからぬ麗しさ。
舅サマは、鳩羽鼠色に藤色のミニ折鶴の素襖裃、薄鼠色の段熨斗目、ブルーグレーの襟。

娘がティーンエイジャーだとすると、舅サマは37歳くらいって可能性もあるのか。
ふむ、確かに37歳くらいのヴィジュアルです。

しっとりした落ち着きに気品が漂い、よいではないですか―
舞のときに謡も聴けるし。

今後は、他の演目でも舅のお役をなさる時は、37歳の設定でお願いします!!
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「是界」。
「白頭」の小書つき。

シテは坂口貴信さん、ツレは関根祥丸さん、ワキは福王和幸さん、アイは太一郎くん。
囃子方は杉信太朗さん&飯田清一さん&広忠さん&林雄一郎さん。
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前シテの面が、アインシュタインの稲田さんみたい。
山伏に化けてるっていっても、ただ者じゃない事はバレバレな感じです。

関根祥丸さんの面が、妙にご本人に似てるように見えてきて楽しい。

後シテは、僧に祈り伏せられると、ベタッと地に倒れ伏しちゃうんですね。
ヨガのネコのポーズのように。
最後の方は、どんどん囃子が盛り上がっていってスカ―ッとしました。