萬斎さん観賞と日本画修得の日々

吉祥寺で一棚だけの本屋さん(ブックマンション,145号,いもづる文庫)を始めました。お店番に入る日や棚のテーマ更新は、Instagramでお知らせします。

軽井沢に出現した名馬と、名馬を得た太郎冠者さま

8月3日、「軽井沢夏の宵の狂言」。
この夜、「止動方角」の太郎冠者サマは、すばらしい名馬を得ました!

太郎冠者サマは萬斎さん、お馬の役は裕基くん。
せっかく軽井沢まで裕基くんを帯同なさるのに、お役は馬だけ?

由緒正しい御曹司を、そんな扱いなさるって、万作さんも萬斎さんも、どーかしてる
・・・と開演前は、私は不満でした。

が、どうして どうして、これは渾身の配役だったのです。

この名馬クンは、乗り手(太郎冠者サマ)との息がぴったりで、緩急がすばらしい。
見事な連舞を観てるかのよう。

太郎冠者サマが、どんどん調子に乗っていくと、呼応して名馬クンもノリにノッてゆく。

まさに人馬一体。

太郎冠者サマの高揚感が、裕基くんご自身にも伝搬するものなのかしらねー

さらに、怒りが頂点に達した主(太一郎くん)が、太郎冠者サマを押しのけ、再び乗馬した後・・・

太郎冠者サマが咳をすると、名馬クンは後ろ足を高く蹴り上げ、ほぼ倒立状態!
吹っ飛ぶ主!!

長身でスレンダーなキレッキレの暴れ馬ですー

この日、裕基くんは、この馬の役を遥か高みに引き上げられたのではないかと思います。

しかし、万作家の若手くん達だって、みなさん身体能力高そうなのに、この馬の役で裕基くんが抜きん出てるのは何故なんでしょう。

太郎冠者サマとの息の合わせ方、というか、自然と息が合ってしまうのでしょうか。

太郎冠者サマも、この名馬クンを気に入られたこと間違いなしと思います。
ぜひ東京でも同配役で上演くださいますように。

裕基くんには過酷かもしれませんが。
どんどん飼葉料をはずんで、そこを何とか、お頼みします。


ところで、今回の太郎冠者サマの肩衣は初見でしたが、不思議な柄。

シャチホコのような筍から月見草が生え、更に、サボテンと芝草が栗皮色の地に染め抜かれてました。

白地に藍色の、大きめ格子の縞熨斗目、紺の襟、辛子色の狂言袴、という他の装束とも、不思議に調和してました。