萬斎さん観賞と日本画修得の日々

能楽や展覧会の観賞の感想を書いています

「野村万作 米寿記念狂言の会」を観る


仕事が慌しくなってしまって中々blogが更新できなくなり、しばらく前から、1ヶ月で単位でまとめてアップする方式に変えてたのですが・・・

この公演に限っては、単独で書く!
あまりに特別な公演だったので。

全てがスペシャル過ぎて、何から書いたらよいのか。

まずは、なんと言っても「裃による三番叟 神楽式」

萬斎さんの火打石に始まり、
万作さんの三番叟
裕基くんの千歳
萬斎さんの後見
広忠さんの大鼓

と、思い返すだけで、涙が出てきてしまう。

橋掛かりに万作さんが現れると、空気が一変。
万作さんが背後に従えている厳かな空気といったら、もぉ、もぉ、もぉ。

万作さんの所作ひとつひとつの美しさは勿論なんだけど、それ以上に、そのひととき、そこで形成されたすべてのことがパッケージとして一つの世界になってたんですよねー

花一輪一輪の綺麗さにフォーカスして楽しむ、というよりも、自分が身を置く周囲を取り巻く風景全ての美しさに耽溺してるような感覚とでもいいましょうか。

さて、今回は千歳も後見も紋付裃でした。
裕基くんは直垂の時よりも、動きがシンプルに現れる分、スタイリッシュ増し増しです。
萬斎さんの着物は黒じゃなくて濃紺で、特別感あり。

狂言「業平餅」では、なつ葉のお顔がオープンに。
少し前に観た「靱猿」の、あの小猿ちゃんの中には、やはりホントに、人間の女の子が入ってたんだぁ

あまりに上手い小猿ちゃんだったもので。
なーんて愛くるしいんでしょぉ

深田さんの業平、愛嬌があって、とってもハマリ役でした。
yoiya会報誌を拝読した印象だと、万作さんが迷うことなく深田さんに即決されたようで。

深田さんは、こういう陽性キャラもお似合いになるんですねー

そして、画期的だったのは、狂言のおうち主催の会でお能がガッツリ上演されたこと。

船弁慶」です。
番組表にズラリとならぶ小書は
「重キ前後之替」「船中之語」「船唄」「早装束」。

「船中之語」はワキ方の小書で、
「船唄」「早装束」は、狂言方の小書。公演パンフによると、和泉流独自の小書なんだとか。

静は勿論野村四郎さん、知盛は観世喜正さん、弁慶は宝生欣也さん、義経は、なんと長山凜三くん!わーおおおおおー

最高のキャスティグをありがとう万作の会!

更に!船頭が萬斎さん
お祝いにも程がある、あ、いや、苦情ではありません、こんな贅沢三昧いいの?という反語です。

小鼓は源次郎さん、凜三くんが師事されている師匠でもあられるんですもんねー

今回にて、凜三くんは子方ご卒業とのこと。
はからずも、6年前に私が凜三くんにハマった時と同じ演目で、子方卒業の凜三くんをの見納めとなりました。

ちなみに、その6年前の時は、橋弁慶&船弁慶の同時上演でしたが、橋弁慶は2ヶ月前の桂諷会発表会で拝見のチャンスをいただけました。

凜三くんがグッと大人びて、目を見開くばかり。
静と向き合うと、ほんとの恋人どうしに見えちゃう。

凜三くんは、濃紫地に金糸の模様入りの袷法被の肩上、笹リンドウの腰帯、白地に金糸の模様入りの半切、金糸の亀甲柄が配された抹茶色&水色&照柿色の厚板、梨子打烏帽子に白ハチマキ。

膝に手を添えて葛桶に座る姿の、なんたる清浄感!
真っ直ぐ伸ばした腕のシャープなラインも、後頭部から首筋に至るエレガントな曲線も、その曲線の向こうに長く垂らされたハチマキの白さも。

静を置いての船出の後は、あからさまに悲嘆にくれるわけではないのに、毅然と座る姿に悲哀が滲みます。

静との別離由来の悲哀というより、現在から遠い過去を振り返った、歴史のかたなにある義経の存在そのものの悲哀を思わずにはいられませんでした。

これって、凜三くんによって体現されている義経とともに、
義経に思いを重ねている凜三くんご当人の存在も感じられるためでしょうか。

そしてそして、船唄が!カッコよすぎるぅー

マイクスタンドをガッと傾けてシャウトなさる船頭サマ!
"にほんごであそぼ"の縞々スーツ"ver.風の又三郎"と同格なくらい攻めてますー

ああ、違いました 違いました。

マイクと見えしは かんどりの棹。
シャウトの声と 聞えしは 船唄なりけり 船頭の。

・・・でした。

船唄の時だけは、棹を片手持ちになさるもんだから、つい。

と、ここまで書いたけど、ちがーう!
屋島」要素が混ざりこんでるーー

義経つながりだし、しかも「桂諷会」で11月に上演される「屋島」チラシをこの日にゲットして舞い上がってたこともあり、幸せまみれのカオス状態なのでした。

秋の「万作を観る会」も「桂諷会」もヒジョーに楽しみですー