仕舞
「生田敦盛 クセ」大槻裕一くん、
「鞍馬天狗」観世三郎太くん。
狂言「舟渡聟」
船頭が萬斎さん、
聟が裕基くん、
船頭の妻が太一郎くん、
後見が中村くん。
聟が船に一歩、踏み出すと、船がメッポウ激しく揺れる!
萬斎さんが船頭をなさると、
船が揺れる表現は、こうなるんだー
グラグラグラグラグラッ、と、なかなか減衰せず、
長いこと高周波で揺れ、萬斎さんの身体も激しく揺れつづけ。
といっても、船はエアーなので、船が揺れてるから萬斎さんが揺れてるじゃなくて、萬斎さんの身体の揺れが、エアー船が揺れてるかのように見せている、と。
そんなに激しく揺れても両足で踏ん張れちゃうって、船頭サマってば、体幹つよすぎ。
舅が実は船頭だった、と知ってしまった聟の態度が、凛々しく優しい。
船頭に脅されたら脅されっぱなしだった青年ですが、ここぞ、の時に彼の真の人となりが現れたのでしょう。
聟の神対応が、バッドエンドを鮮やかにハッピーエンドに反転させ、品格溢れる美しい別れの場面となりました。
仕舞
「難波」 観世銕之丞さん、
「鳥追舟」 観世喜正さん。
能「井筒 」
里の女&紀有常の娘が観世淳夫さん、
旅の僧が宝生欣哉さん、
所の者が太一郎くん。
囃子方が竹市学さん&大倉源次郎さん&亀井広忠さん。
小鼓後見は大倉伶士郎くん。
後見は鵜澤久さん&大槻裕一くん。
地頭は観世銕之丞さん。
業平と紀有常の娘が交わしあった和歌が出てくるんだけど、業平からの和歌は、どうもフワッとしてる。
現代の人だったら、この和歌が自分への告白って認識できないのでは?
イヤイヤしかし、相手が気になる人であれば、えええ?それって、それって、もしかして?、と、正解に到達する可能性はある。
そう考えると、業平は気づいてくれたら脈あり、スルーされたら脈なし、と思って諦めよう、くらいの気持ちだったのかしら。
業平は敢えて、フワッとした、いかようにも解釈できる和歌を送って、恋が成就しなくても幼馴染と気まずくならないよう配慮していたのかも。
実は舞台上には業平は登場してないのに、こんな風に、業平と紀有常の娘の関係性を考えさせられるとは、面白いことです。