萬斎さん観賞と日本画修得の日々

吉祥寺で一棚だけの本屋さん(ブックマンション,145号,いもづる文庫)を始めました。お店番に入る日や棚のテーマ更新は、Instagramでお知らせします。

「いもづる文庫」からのお知らせ(2024/3/19)

3月20日、吉祥寺の「ブックマンション」のお店番に入ります。

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この日は、近くのブックターミナルで「登山 草花 生き物 本市」が開催されるようです(←この本市は3/30に変更になったそうです。が、ブックマンションの特性コーナーのテーマは変更なしの予定です。3/20追記)。
せっかくなので、ブックマンションでも、同じテーマの、お能の本を特設コーナーに並べたいと思います。
お能には、擬人化された植物がけっこう登場するのです。
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また、いもづる文庫の棚には、先月に引き続き、源氏物語の関連本も、並べる予定ですので、そちらも併せてご覧頂ければと思います。
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ラインナップの中から、1冊をご紹介します。
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●「秀吉の能楽師」(岡山景布子)
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秀吉が能にハマっていく小説。大名たちが舞うお能の演目に絡めて、大名たちの人となりや、力関係が浮き彫りにされていくのが、面白いです。
紫式部が主人公の「源氏供養」、六条御息所が主人公の「野宮」など、源氏物語にちなんだ演目も出てきます。
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3月20日は、13時〜17時まで営業いたします。
お近くをお通りの際には、よろしければお寄りくださいませ。
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「ブックマンション」は、オーナーが異なる多数の棚が集合しているシェア型書店です。
棚オーナーが持ち回りでお店番をしています。
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"源氏物語 THE TALE OF GENJI ─「源氏文化」の拡がり 絵画、工芸から現代アートまで─"を観る

富士美術館で開催中の、源氏物語にちなんだ展覧会・"源氏物語 THE TALE OF GENJI ─「源氏文化」の拡がり 絵画、工芸から現代アートまで─"に行ってきました。
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松岡映丘の作品が素敵でした!
今回の展覧会のポスターにもなっている大きな屏風絵も素敵でしたが、
「住吉詣」という掛け軸にも惹かれました。
これ欲しい!
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松岡映丘と源氏物語って、相性バツグンなんだなぁ、と感動しました。
紫式部さま、時を超えて松岡映丘に、こんな素敵な絵たちを描かせくれてありがとうございます!
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住吉詣を扱った絵は、他の作者による作品も数点ありました。
人気の画題だったのですね。
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空蝉と軒端ノ萩が碁をうつ場面の絵もあり、先日、お能の「碁」を観たばかりだったので嬉しくなりました。
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上村松園の「焔」(下絵)の六条御息所も。
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そして、谷崎潤一郎の「新訳 源氏物語 愛蔵本挿絵原画」を描いているのが、
安田靱彦、小倉遊亀前田青邨など、驚愕の豪華ラインナップ。
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安田靱彦は、掛け軸の作品もあり、光源氏に見染められた
、後の紫の上の絵が、かわいい。
2時間くらいかけて、ゆっくり堪能しました。
富士美術館の外に出ると、濃いめ桜が咲いていました。
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「国立能楽堂 定例公(3月15日)」を観る

3月15日、「国立能楽堂 定例公演」を観に行ってきました。
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「長刀応答(なぎなたあしらい)」
太郎冠者が深田さん、
主が萬斎さん、
一人目の客が高野さん、
二人目の客が月崎さん、
立衆が太一郎くん&内藤くん&中村くん、
後見が飯田くん。
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萬斎さんは、茄子紺色の長裃、ブルーグレーの段熨斗目。格子の段も入っていて、軽やかな明るさのある熨斗目。すてきな装束〜
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主が太郎冠者に留守番を言い渡して出かけるのですが、
棒縛とか附子のように、また戻ってくるのかと思いきや。。。
なんと戻ってこないパターンでした。
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初見の曲だったので、
さあ、太郎冠者の実態の顛末は如何に?
というワクワクと、
さあ、萬斎さんのお姿を今ひとたび拝めるのか、自分?
というドキドキを味わいました。
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太郎冠者深が張り切って長刀で客を「あしらう」様子が、なぜか笑いを誘います。
これが饗応になると、ナゼ思った?とツッコミたくなるのも、楽しいポイントでした。
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「角田川」(金春流
梅若丸の母が本田光洋さん、
梅若丸が中村優人くん。
渡し守が福王茂十郎さん、
旅人が喜多雅人さん、
ワキ方後見が福王知登さん。
笛が松田弘之さん、
小鼓が曽和正博さん、
大鼓が安福光雄さん。
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抑制された所作に、思いが滲むような母親でした。
じわじわと時間を掛けて顔を横に背けると、そのじわじわの時間に悲哀が濃縮されていくのかもしれません。
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「能を知る会 東京公演(3月14日)」を観る

3月14日、観世能楽堂へ、「能を知る会 東京公演」を観に行って来ました。
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講演「盛者必衰 会者定離葛西聖司さん。
大原御幸の登場人物の相互関係を丁寧に説明してくださり、大半の登場人物に固有名詞がついている事にナットクです。
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「清水座頭」
座頭が萬斎さん、
瞽女が太一郎くん、
後見が中村くん。
萬斎さんは、紫紺色の編綴、練色地に黒&枇杷色の格子の厚板、金&ブルーグレーの墨流しの地文の角帽子、同色の緞子の腰帯。
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萬斎さんが盲目の役をなさると、手が特別に魅力的に見えます。
視覚が閉ざされている分、手が雄弁になるためでしょうか。
瞽女にお酒を注ぐために手探りで膝行していく時も、手が相手の扇に行き当たる場面が印象的で、物語が大きく動き始める感があります。
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酒宴のシーンで萬斎さんが平家を謡うと、あまりに美しいお声に、ハッとなりました。
お声の美しさは知ってるはずなのに、衝撃を受けてしまう。
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そして、杖がコツ、と触れあった事で、相手が参籠の時のあの人だ、と分かるくだりが、すてきでした。
フレーズはちゃんと覚えてないけど、それを短い言葉で間接的に表現するのがいいなぁ、と思います。
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「大原御幸」
建礼門院が中森貫太さん、
後白河法皇が味方玄さん、
阿波ノ内侍が永島充さん、
大納言局が石井寛人さん。
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万里小路中納言が館田善博さん、
大臣が野口能弘さん、
輿舁が梅村昌功さん&野口琢弘さん。
供人が裕基くん。
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大鼓が亀井広忠さん、
小鼓が飯田清一さん、
笛が杉信太朗さん。
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三島由紀夫の「天人五衰」のラストを思い出しました。
月修寺で尼僧となった聡子を、本多が60年ぶり訪ねる場面です。
季節の設定は違うけど、山門の周辺の木々が陽射しにキラキラ輝くような雰囲気や、清浄な空気間がシンクロするように感じられました。
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「東京能楽囃子科協議会定式能(三月公演)」を観る

3月13日、国立能楽堂へ、「東京能楽囃子科協議会定式能(三月公演)」を観に行ってきました。
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狂言「蝉」
蝉の霊が萬斎さん、
旅僧が高野さん、
所の者が金澤桂舟くん、
地謡が、
裕基くん&中村くん&内藤くん&飯田くん。
後見が深田さん、
前半の幕が岡さん、
後半の幕が太一郎くん。
笛が八反田智子さん、
小鼓が住駒匡彦さん、
大鼓が柿原孝則さん。
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萬斎さんは、うそふきの面、黒頭、白の縷水衣。
その下の厚板(?)は、泥染め大島紬ちっく。
蝉の繊維質な胴体の質感に寄せているのでしょうか。
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ふわりと身体をひるがえすと、カサッとした軽いモノが、浮遊してるよう。
一転して、高速の舞は、狂気をはらむカッコよさでした。
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そして、細身の萬斎さんに対して黒頭がボリューミーなので、出家した態で黒頭を外すと、物理的に身軽になった感が強く、ほんとうに様々な束縛から解き放たれたかのよう。
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この曲のなかで蝉の霊が歌を詠むのですが、
源氏物語の中で光源氏が読んだ歌「空蝉の身を変へてける 木のもとに なほ人がらの懐かしきかな」とは、一文字だけ変えて、「身を変へてゐる」となっているのだとか。
私はちゃんとヒアリングしきれませんでしたが、2008年10月の国立能楽堂パンフに、湛センセが書いておられました。
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ところで、地謡の裕基くんが水際だった美しさ!
狂言のお役で登場する時も然りですが、今回は、もはや大事件のような美!
狂言の地頭を務める、という覚悟から来るのでしょうか。
またハムレット、再演して欲しいものです。
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能「融 笏之舞」(金春流)
塩汲みの老人&融の大臣の亡霊が髙橋忍さん、
旅僧が舘田善博さん、
アイが野村太一郎くん、
笛が一噌幸弘さん、
小鼓が幸信吾さん、
大鼓が安福光雄さん、
太鼓が大川典良さん。
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前場の終盤、謡の言葉がきれいで、冴え冴えとした夜の気配が感じられました。
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後シテの初冠の纓が、クルンと丸まったフォルムで、垂れ下がってないパターンもあるんだ、と興味が湧きました。
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帰宅して「対訳でたのしむ融」を参照してみると、
「文官の融は垂纓(すいえい)、武官の在原業平の能は巻纓(けんえい)を付ける。」と書かれており。
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が、他の本をパラパラしてたら、櫻間金太郎さんの「融 笏之舞」の写真があり、やはり巻纓を付けておられ。
金春流は、いつも巻纓なのか、はたまた、笏之舞の小書が付くと巻纓になるのでしょうか。
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以前にも金春流の融を観た事があるのに、初冠の形は記憶に残ってなくて、気になります。
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さて、今回の公演では、番組表とは別に、解説も配布されたのですが、これが囃子に特化した解説で、とても読み応えがありました。
知らないワードもチラホラあるのですが、それでも分からないなりに面白かったです。
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「第九回 三人の会」を観る

3月9日、観世能楽堂へ「第九回 三人の会」を観に行ってきました。
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「野宮」
里女&六条御息所が谷本健吾さん、
旅僧が宝生欣哉さん、
里人が野村太一郎くん、
笛が 松田弘之さん、
小鼓が観世新九郎さん、
大鼓が広忠さん。練色の袴。
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シテの面が美しかった!
特に斜めアングルが。
瞼の皮膚が薄い感じ、好きです。
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御息所が鳥居に近付きかけて留まる場面、囃子が印象的でした。しめやかな調子ではなくて、猛り狂った風にやるんだぁ、と。
なんとカッコイイ!!
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「苞山伏」
使いの者が太一郎くん、
山人が岡さん、
山伏が竹山さん。
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使いの者は、寝てる山人のお弁当をムシャムシャ食べ出しますが、山人が目覚めかける気配を見せるや、シュッとお弁当を放り戻して眠ったふり。
やんちゃな中学生っぽくて、笑ってしまいました。
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そして、使いの者が立ち去ろうして山伏の呪文で引きずり寄せられる場面は、抗う動きが楽しい。
ジタバタする動きがアニメちっくで、可愛らしく思えてしまいました。
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この日は、仕舞が4番あったのですが、観世喜正さんの「賀茂」では、神秘域の扇が!
演目にピッタリでした。
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国立能楽堂開場40周年記念の「収蔵資料名品展」のギャラリートーク(2回目)を聴講する

2月3日、国立能楽堂開場40周年記念の「収蔵資料名品展」のギャラリートーク(2回目)を聴講してきました。
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雪持椿の厚板の由来が面白かったです。
雪持椿は、宝生流道成寺の決まり柄で、元々は宝生流の物だったのが、流儀存続にかかわる資金難の際に、宝生九郎から梅若六郎の手に渡り、その後、国立能楽堂がゲットしたのだとか。
装束を守り継ぐリレーに、深い想いを感じます。
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もう1つ印象に残ったのが、昔の縫箔と、その復元版が並べてあるコーナーでの、復元過程のお話。
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縫箔は御簾に牡丹の柄で、御簾の縁エリアに銀箔、竹エリアに金箔が付けられていたのですが、御簾の右下の極一部だけ、銀の摺箔が使われていたそうで。
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で、それは製作ミスなのか、故意に箔の色を変えたのか、という検討過程をお聞かせくださり、まるで推理小説のよう。
で、製作ミスという結論に至り、復刻版は、竹エリアは全て金箔とされたのだそうです。
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他にも興味深いお話が盛りだくさん。
それが、学術的な知識を伝えるというより、展示物たちへの膨大な愛着の一端が漏れこぼれてしまう、いう風。
ある分野に徹底的に精通されているっていうのは、かっこいいなぁ、と思いました。
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次回(3回目)のギャラリートークは、3月15日、16時〜だそうです。
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